
航空機整備専門会社(MRO事業者)が特定技能「航空」の受入れについて、出入国在留管理庁の審査を受けたところ、「整備士不足の事情は分かりますが、直近決算が債務超過のままでは審査を進められません。企業評価書が必要です」と言われた。
債務超過の原因は、整備士不足と部品調達費の重さにあります。コスト構造の7〜8割を占める部品調達費が円安で膨らむ一方、整備士の稼働率低下で対応できる整備件数が減り、利益が圧迫されています。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ重整備の依頼を断らざるを得ず、受注を断れば稼働率はさらに下がり、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
そんな不安を抱えている航空機整備専門会社の経営者・総務担当・経営企画の方は、決して少数派ではありません。整備士という国家資格者の養成には長い年月と費用がかかり、人手不足はすぐには解消しません。
それでも航空需要そのものは回復基調にあり、人手が足りないからこそ、特定技能「航空」(航空機整備区分)による外国人材の受入れを検討する経営者が増えています。
- 整備士が足りず、外国人材の受入れを急ぎたい方
- 赤字・債務超過で、受入れ審査が通るか不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 特定技能「航空機整備区分」の要件を知りたい方
- 大手エアラインへの依存体質から抜け出したい方
結論から言うと、決算が債務超過であっても、正しい手順を踏めば特定技能「航空機整備区分」の受入れは十分に可能です。カギを握るのは、中小企業診断士が作成する企業評価書と、実現可能な改善計画の2つです。
この記事では、その具体的な進め方を3つの手順に整理してお伝えします。専門用語は最小限にとどめ、初めて企業評価書を依頼する方にも分かるように解説します。
- 航空機整備会社が赤字・債務超過に陥りやすい構造的な理由
- 特定技能「航空」で企業評価書が必要になる場面
- 債務超過でも受入れ審査を通す3つの手順
- 企業評価書のサンプル・フォーマットで押さえるべき点
- 中小企業診断士に依頼する具体的な流れと費用の考え方
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士が中心となり、これまで150社以上の法人を支援してきた認定経営革新等支援機関です。「申請サポート」ではなく、数字を見える化し利益が残る構造へ転換する伴走支援を強みにしています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
整備士不足と大手依存が招く赤字構造、放置すると起きること

航空機整備専門会社(MRO事業者)の収益が不安定になる本質は、単なる「人手不足」だけではありません。整備士という有資格者の養成コストの重さと、発注元への価格交渉力の弱さが重なる構造にあります。
高齢化・大量退職とICAOが警告する2030年問題
国土交通省は「航空整備士・操縦士の人材確保・活用に関する検討会」を設置し、2030年時点の整備士不足を見据えた対策の検討を進めています。国際民間航空機関(ICAO)は、2030年には国際的に現在の約2倍、アジア太平洋地域では約3.5倍の整備士が必要になると予測しています。
整備士資格は一朝一夕には取得できません。ベテランが定年を迎えても、後任の育成が間に合わなければ、対応できる整備件数そのものが減っていきます。人手不足の解消を先送りするほど、受注機会そのものを失うというのが、この業界の厳しい現実です。
特定の発注元(エアライン・重工)への依存という構造
経済産業省「航空機産業戦略」(産業構造審議会 製造産業分科会 航空機産業小委員会)では、国内の航空機整備・部品供給を支える中小サプライヤーが、特定企業の生産計画に依存する構造となっており、環境変化に対して脆弱性を抱えていると指摘されています。
取引先が限られる整備会社ほど、委託単価の交渉力が弱く、コストが上がっても価格転嫁が進みにくい傾向があります。売上は一定水準を保っていても、利益がじわじわと削られていく構造です。
コスト構造の7〜8割を占める部品調達費という重さ
同じく経済産業省の資料によれば、航空機整備事業のコスト構造は、部品調達費が7〜8割を占めるとされています。円安局面では輸入部品の調達コストが直接利益を圧迫し、整備士不足による稼働率低下と合わさって、赤字・債務超過へとつながっていきます。
近年は、エンジン整備を中心に「整備時間あたり定額」で契約するPBTH(Power by the Hour)方式のMRO契約が広がりつつあります。定額契約では、部品調達費が想定より膨らんでも収入は増えないため、コスト管理の巧拙がそのまま利益に直結します。原材料高がそのまま価格に転嫁できる業種とは違い、契約構造そのものが利益を圧迫しやすい仕組みになっている点が、航空機整備業ならではの難しさです。
航空法に基づく事業場認定という参入障壁の高さ
航空機整備の仕事は、誰でも自由に受注を増やせるわけではありません。特定技能「航空機整備区分」の受入れ機関になるには、航空法に基づいて認定された整備事業場を有していることが前提条件です。
つまり、人手さえ確保できれば売上を伸ばせる業種とは違い、認定された事業場の中で、限られた整備士がどれだけ稼働できるかが売上の天井を決めてしまいます。だからこそ、整備士1人あたりの生産性を落とさずに人員を増やせるかどうかが、経営の分かれ目になります。
放置した場合、何が起きるのでしょうか。次の表に整理しました。
| 放置した場合の悪化シナリオ | 具体的に起きること |
|---|---|
| 受注 | 対応できる整備士が足りず、重整備の依頼を断らざるを得ない |
| 資金繰り | 部品調達費の前払いと入金のタイムラグで運転資金がひっ迫する |
| 技術承継 | ベテラン整備士の判断が属人化したまま、引き継げなくなる |
| 外国人材の受入れ | 決算が債務超過に至ると、企業評価書の準備が間に合わず受入れが遅れる |
特に見落とされがちなのが、最後の「外国人材の受入れ」への影響です。人手不足を補うために特定技能人材を採用しようとした矢先、決算が債務超過であることが判明し、審査に必要な書類の準備が間に合わないというケースが実際に起きています。航空機整備区分は特定技能「航空」の中でも比較的新しい区分であり、受入れ企業側も何を準備すべきか手探りの状態です。だからこそ、早めに全体像を把握しておくことが重要です。
整備士不足を放置すればするほど、技術承継の機会そのものも失われます。「利益」ではなく「利益が残る構造」を見直すことが、赤字体質から抜け出す第一歩です。
債務超過でも特定技能「航空機整備区分」を受入れる3つの手順

結論として、債務超過の状態からでも特定技能「航空」(航空機整備区分)の受入れを進める道はあります。ポイントは、次の3つの手順を順番に満たしていくことです。
- 直近決算の実態を数字で正しく把握する
- 実現可能な改善計画を管理会計の視点でつくる
- 中小企業診断士に企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)を依頼する
手順1 直近決算の実態を数字で正しく把握する
まず必要なのは、直近2期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)を整理し、どの勘定科目が債務超過の原因になっているかを特定することです。部品在庫の評価損なのか、設備投資に伴う減価償却の重さなのか、原因によって改善計画の書き方はまったく変わります。
感覚ではなく、数字で「なぜ今この状態にあるのか」を説明できる状態にすることが出発点です。ここを曖昧なまま次の手順に進んでしまうと、改善計画そのものの説得力が失われてしまいます。
手順2 実現可能な改善計画を管理会計の視点でつくる
次に、その原因を踏まえた改善計画を作成します。「整備士を増やして受注件数を増やす」といった精神論ではなく、何を・いつまでに・どれだけ改善するのかを数字で示す計画が求められます。
特定技能人材を受け入れて対応可能な整備件数を増やし、稼働率を回復させる計画は、審査官にとっても説得力のあるストーリーになります。ここで「売上ではなく利益が残る構造」を意識できるかどうかが、審査通過の分かれ目です。
手順3 中小企業診断士に企業評価書の作成を依頼する
最後に、中小企業診断士または公認会計士に企業評価書の作成を依頼します。企業評価書(改善見通しに関する評価書面)を作成できる専門家は限られており、税理士は作成することができません。「企業評価書 税理士」という検索が多いのも、この点で混乱している方が多い証拠です。
企業評価書の作成にあたっては、企業評価書(改善見通しに関する評価書面)の作成支援を専門とする中小企業診断士に相談することで、決算書の読み解きから改善計画の策定、書面の作成までを一気通貫で任せられます。
また、特定技能「航空」の受入れ機関は、来日した外国人材が現場に配属されてから4か月以内に、国土交通省が運営する航空分野特定技能協議会へ加入する必要があります。企業評価書の準備と並行して、この点も早めに確認しておくと、受入れ後の手続きがスムーズになります。
その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。お断りいただいても費用は一切かかりません。まずは決算書の状況だけでもお聞かせください。
手に入る未来 整備士不足を乗り越えた会社の姿

企業評価書を整え、特定技能人材の受入れが実現すると、会社にはどのような変化が起きるのでしょうか。抽象的な話ではなく、数字・時間・関係性の3つの軸で具体的に見てみましょう。
数字 断っていた重整備の依頼に対応できるようになる
整備士不足で断らざるを得なかった重整備の依頼に、再び対応できるようになります。稼働率が回復すれば、固定費の負担も相対的に軽くなり、利益が残りやすい体質に近づきます。
売上を無理に追いかけるのではなく、限られた事業場・限られた整備士でどこまで利益を残せるかという視点に立てることが、経営の安定につながります。
時間 受入れ審査への対応に追われる時間が減る
企業評価書の準備を早めに進めておくことで、受入れ審査の直前になって慌てて書類をそろえる時間が不要になります。日々の運航対応・整備業務に、経営者・総務担当の時間を集中させられます。
審査対応に追われる時間が減った分、技術承継の仕組みづくりや、若手整備士の育成計画といった、本来時間をかけるべき経営課題に向き合えるようになります。
関係性 発注元との信頼関係が変わる
安定した整備体制を示せる会社は、エアラインや重工各社からの信頼も厚くなります。委託単価の交渉においても、「人手不足で納期が守れない会社」ではなく「安定して対応できる会社」という立ち位置に変わっていきます。
特定の発注元に依存する構造そのものはすぐには変えられなくても、選ばれ続ける会社になることで、価格交渉の土俵に立てるようになります。
整備士不足という業界共通の課題を、御社だけの弱みで終わらせる必要はありません。正しい手順を踏み、利益が残る構造への転換を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

ここまで手順を説明してきましたが、実際には自社だけで進めるにはいくつかの壁があります。整備業務の第一線で活躍してきた経営者ほど、財務や制度面の書類作成には不慣れなことが多く、独学で進めようとして時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。
専門性の壁
企業評価書は誰でも作成できるものではなく、中小企業診断士または公認会計士という限られた専門家にしか作成できません。財務分析と改善計画の策定には、管理会計の専門知識が必要です。
時間コストの壁
日々の整備業務・運航対応に追われながら、決算書の読み解きから改善計画の作成まで自社で完結させるのは容易ではありません。書類の不備で審査が長引けば、受入れ時期そのものが後ろ倒しになります。
判断ミスのリスク
改善計画の数値に根拠がなければ、審査官から「実現可能性が低い」と判断されるリスクがあります。だからこそ、プロに任せる経営者が増えているのです。
特に航空機整備業は、部品調達費や事業場の減価償却など、業界特有の勘定科目の読み解きが必要になります。一般的な決算分析の知識だけでは、どこにメスを入れれば改善につながるのか見極めが難しい領域です。
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)を持つ代表の松本昌史が中心となり、決算書の分析から企業評価書の作成、改善計画の策定までを伴走支援しています。「申請サポート」ではなく、数字を見える化し、利益が残る構造へ転換することが私たちの役割です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。1社ごとに時間をかけて向き合うため、まずは現状の決算状況だけでもお聞かせください。
よくある質問

Q. 企業評価書は誰が作成できますか。
A. 企業評価書(改善見通しに関する評価書面)を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士です。税理士は作成することができません。「企業評価書 税理士」と検索して情報を探す方が多いですが、依頼先を間違えないよう注意が必要です。
Q. 特定技能「航空」に航空機整備の区分はありますか。
A. あります。特定技能「航空」には、空港グランドハンドリング区分と航空機整備区分の2区分があり、それぞれレベル1・レベル2に分かれます。航空機整備区分は、航空法に基づき認定された整備事業場を有する事業者が受入れ機関となります。レベル1では航空機の機体や装備品の整備業務、レベル2ではより専門的・技術的な整備業務を単独で行うことが想定されています。
Q. 債務超過でも特定技能の受入れは可能ですか。
A. 可能です。赤字の原因が明確であること、改善計画が現実的であること、資格を有する第三者による企業評価書が添付されていることの3つがそろえば、受入れの申請を進めることができます。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか。
A. OTIT(外国人技能実習機構)が公表している様式に沿って作成しますが、記載内容は各社の決算状況によって大きく異なります。サンプルをそのまま流用するのではなく、自社の実態に合わせて中小企業診断士が個別に作成する必要があります。
Q. 「改善の見通しについて評価を行った書面」と企業評価書は同じものですか。
A. 同じものです。「改善の見通しについて評価を行った書面」は正式名称で、「企業評価書」は通称として使われています。OTITへの提出書類のうち、別紙②-1・番号20に該当します。
Q. 債務超過の理由書はどう書けばいいですか。
A. 赤字・債務超過に至った原因を、部品調達費の高騰や整備士不足による稼働率低下など、決算書の数字と紐づけて具体的に説明する必要があります。原因が曖昧なまま提出すると、改善計画の説得力も弱くなります。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか。
A. 決算書の内容や改善計画の複雑さによって異なりますが、決算書一式をそろえてから着手できる状態であれば、比較的短期間での作成が可能です。受入れの申請時期が決まっている場合は、早めに相談することをおすすめします。
Q. 育成就労制度に変わっても企業評価書は必要ですか。
A. 2027年4月に施行予定の育成就労制度でも、財務基盤に関する審査の考え方は引き継がれる見通しです。債務超過の企業が外国人材を受け入れる場合、客観的な評価書面の重要性は今後も変わらないと考えられます。
Q. 監理団体や行政書士との連携は必要ですか。
A. 在留資格の申請手続きは行政書士、企業評価書の作成は中小企業診断士または公認会計士と、それぞれの専門領域が分かれています。すでに依頼している行政書士や監理団体がいる場合は、その先生と連携しながら進めることが可能です。役割分担が明確になれば、受任機会を逃すこともなくなります。
Q. 特定技能人材が担当できる整備業務に制限はありますか。
A. あります。レベル1・レベル2という区分ごとに担当できる業務範囲が定められており、いきなり単独ですべての整備業務を任せられるわけではありません。日本語能力試験(N4以上またはJFT-Basic A2相当)と技術評価試験(正答率65%以上)の合格が前提となり、経験や資格に応じて任せられる業務が広がっていく仕組みです。直近決算が黒字で純資産もプラスの会社であれば、企業評価書の提出自体を求められない場合もありますが、コロナ禍のゼロゼロ融資の返済本格化など、一時的に債務超過へ転じるリスクは業界を問わず存在するため、早めに自社の財務状況を把握しておくことをおすすめします。
Q. 費用はどれくらいかかりますか。
A. 決算内容の複雑さや改善計画の作成範囲によって変わるため、一律の金額をお伝えすることは難しいのが実情です。まずは無料相談で決算状況をお聞かせいただき、個別にお見積りする流れになります。
まとめ

航空機整備専門会社の赤字・債務超過は、整備士という有資格者の養成コストの重さと、発注元への価格交渉力の弱さという、業界構造そのものに根差した問題です。経営者お一人の力不足ではありません。
だからこそ、「精神論」ではなく「構造改善」として向き合うことが必要です。直近決算の実態を数字で把握し、実現可能な改善計画を作り、専門家による企業評価書を整える。この3つの手順を踏めば、債務超過であっても特定技能「航空機整備区分」の受入れは十分に実現できます。
人手不足を理由に受注機会を逃し続けるのか、それとも今から手を打ち、利益が残る構造への転換と外国人材の受入れを同時に実現するのか。その分かれ道は、決算書に向き合う今この瞬間にあります。
整備士という有資格者の確保は、一社だけの努力で急に解決するものではありません。だからこそ、財務面の課題は専門家に任せ、経営者は現場の技術承継と受注体制の立て直しに時間を使う。この役割分担が、結果的に一番の近道になります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算書の状況だけでもお聞かせください。
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