
顧問先の社長から、こう相談されたことはないでしょうか。「特定技能の人材を採用したいのに、決算が債務超過で手続きが止まってしまった」「監理団体や登録支援機関から『企業評価書を出してほしい』と言われたが、何をどう用意すればいいのか分からない」——。人手不足が深刻な今、顧問先の外国人材の受入れは、先生の事務所にも確実に持ち込まれるテーマになっています。
ところが、いざ相談を受けても「これは税務の範囲ではない」「うちで作れる書類なのか自信がない」と、対応に迷われる先生は少なくありません。先生おひとりの事務所だけの問題ではありません。特定技能や育成就労への移行が進むなかで、顧問先の受入れ審査で財務を問われ、その説明を顧問税理士に求める——という流れは、これからさらに増えていきます。
結論から申し上げます。債務超過の決算であっても、顧問先が外国人材の受入れを諦める必要はありません。鍵になるのが「特定技能の企業評価書(改善の見通しに関する評価書面)」です。そして、この書面は税務のプロである先生ではなく、企業評価の専門資格を持つ第三者が作るのが原則です。だからこそ、税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担が、顧問先を守る最短ルートになります。本記事では、その仕組みと連携の進め方を、中小企業診断士のKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史が解説します。
この記事で分かること
- 顧問先が特定技能・育成就労の受入れで「企業評価書」を求められる場面
- なぜ顧問税理士だけでは企業評価書に対応しきれないのか
- 企業評価書の作成資格は誰にあるのか(中小企業診断士・公認会計士)
- 顧問先を奪われずに、税務と企業評価書で役割分担する連携スキーム
- 債務超過の顧問先が受入れ審査に間に合わせるための進め方
ご相談いただいても、顧問先を奪うような売り込みは一切ありません。税務顧問の関係はそのまま維持されます。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。まずは連携の可否を知ることから始めていただけます。
顧問先が特定技能で「企業評価書」を求められる場面とは

特定技能の企業評価書とは、財務に不安のある企業が外国人材を受け入れる際に「経営を安定的・継続的に行える見通しがあるか」を第三者が評価した書面のことです。まず、顧問先がこの書面を求められる場面を3つの視点から整理します。
特定技能・育成就労の受入れ審査で財務が問われる理由
外国人材の受入れは、人の生活と人生を預かる制度です。受入れ企業が経営難で賃金の支払いが滞ったり、途中で事業が立ち行かなくなれば、来日した本人が最も大きな不利益を被ります。だからこそ監理団体・登録支援機関、そして外国人技能実習機構(OTIT)や出入国在留管理庁は、受入れ企業の財務健全性を重視します。特定技能でも育成就労でも、この考え方は共通です。
顧問先が「継続して人を雇い続けられる会社か」を問われるのが受入れ審査であり、財務に不安がある場合に「今後どう立て直すのか」を示す資料が、企業評価書というわけです。税務申告の数字を作ってきた先生に、真っ先に相談が来るのは自然なことです。日々の記帳や決算を通じて顧問先の内情を最もよく知っているのは、ほかならぬ先生だからです。
だからこそ、相談を受けた先生が「これは税務の範囲外だから」と突き放すのではなく、「企業評価書は専門の連携先と一緒に整えましょう」と道筋を示せると、顧問先の受け止め方は大きく変わります。最初の相談先が先生であるという強みを活かすためにも、企業評価書を任せられる連携先をあらかじめ持っておくことが、これからの事務所の備えになります。
債務超過の決算が引き金になる
企業評価書が必要になりやすいのは、次のような場面です。顧問先の状況に当てはまるものがないか、確認してみてください。
| 求められやすい場面 | 顧問先に起きていること |
|---|---|
| 直近決算が債務超過・連続赤字 | 財務の健全性を客観的に説明する資料を求められる |
| 特定技能の定期報告・更新のタイミング | 受入れ継続の可否を財務面から確認される |
| 新規に特定技能・育成就労の受入れを申請 | 経営の継続性を問われ、改善見通しの提出を促される |
いずれも「事業をやめる話」ではなく、続けていくための説明を求められている状態です。ここを正しく乗り越えれば、顧問先の受入れは前に進みます。
通称「企業評価書」=改善見通しに関する評価書面
企業評価書という言葉は通称で、制度上は「改善の見通しについて評価を行った書面(改善見通しに関する評価書面)」などと呼ばれます。名称が現場ごとに違うため、顧問先も先生も「結局どの書類のことなのか」で戸惑いがちです。呼び名は違っても、求められている本質は「財務に不安がある会社が、なぜこれから改善していけるのかを、第三者が客観的に評価する」という一点に集約されます。
要するに、特定技能の企業評価書とは、債務超過などの顧問先が受入れを続けるために「改善の見通し」を第三者に評価してもらう書面であり、求められること自体は珍しくない、ということです。
なぜ顧問税理士だけでは企業評価書に対応しきれないのか

税務顧問の専門性と、企業評価書に求められる専門性は、実は別の領域にあります。「顧問先に頼られたのに、自分の事務所で抱えるべきか迷う」——その感覚は正しいものです。理由を3つに整理します。
税務顧問の専門と、企業評価書の専門は別物
先生方は税務・会計のプロフェッショナルです。正確な決算・申告・記帳指導は、他の誰にも代えられない価値です。一方で、企業評価書が問うているのは「過去の数字の正確さ」ではなく、これから会社をどう立て直すのか、という将来の設計とその根拠です。損益分岐点の分析、事業構造の見直し、改善計画の策定といった経営全般の評価は、税務業務とは異なる専門領域になります。
つまり「税務顧問だから企業評価書も作れて当然」という前提には無理があります。むしろ、税務のプロである先生が無理に踏み込むより、企業評価の専門資格を持つ第三者と役割を分けたほうが、顧問先にとっても確実です。
「サンプル・ひな形の穴埋め」では受入れ審査を通らない
顧問先の社長が「企業評価書 サンプル」「フォーマット」で検索し、ひな形を持ち込んでくることがあります。しかし企業評価書は、決められた欄を埋めれば受理される、という性質の書類ではありません。問われているのは書式の体裁ではなく「なぜ改善するといえるのか」という根拠と、その説得力です。
同じ債務超過でも、原因や改善の道筋は会社ごとに違います。ひな形の文言をそのまま流用しても、自社の実態に合った根拠になっていなければ、受入れ審査で評価としての意味を持ちません。先生がここに時間を割いても、事務所の本来業務を圧迫するだけになりかねません。
時間切れのリスクがある
受入れの申請や定期報告には期限があります。自作を試み、差し戻され、書き直しを繰り返すうちに、採用予定者の入国時期や在留期限に間に合わなくなる——これが顧問先にとって最も避けたい事態です。せっかく採用の道筋が見えたのに、財務の一点で足踏みしてしまう。その焦りは、資金繰りと現場の両方を背負う社長ほど痛いほど感じています。
要するに、企業評価書はサンプルの穴埋めでは通らず、「根拠の説得力」と「作成者の資格」が本質です。だからこそ、税務は貴所が担い、企業評価書は要件を満たす専門家に任せる分業が、時間切れを防ぐ現実的な答えになります。
企業評価書は誰が作れるのか(作成資格=中小企業診断士・公認会計士)

企業評価書で押さえるべきは、大きく2つ——「誰が作れるのか(作成資格)」と「何を書くのか(記載の中身)」です。ここを正しく理解しておくと、顧問先への案内がぶれません。
作成できるのは経営評価の専門資格を持つ第三者
企業評価書で想定されているのは、中小企業診断士・公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者が、改善の見通しについて評価を行うことです。社長本人が作文すれば足りるものではなく、税務顧問である先生の署名で足りるものでもありません。ここは顧問先にも誤解されやすい点なので、正確に押さえておく価値があります。
なかでも中小企業診断士は、経営全般の分析と改善計画の策定を専門とする国家資格です。財務だけでなく「事業としてどう立て直すか」まで踏み込んで評価できる点が強みで、公認会計士とともに、企業評価書の作成資格を満たす第三者として位置づけられます。
中身は「現状・原因・改善の見通し」の三段構え
企業評価書に盛り込む中身は、おおむね次の流れで構成します。
- 現状の把握:直近の財務状況(債務超過額・赤字の程度など)を正確に示す
- 原因の分析:なぜその状態に至ったのか(一時的要因か、構造的要因か)を掘り下げる
- 改善の見通し:今後どのような施策で、いつ頃までに、どの程度改善するのかを、数値の裏付けとともに示す
この三段を、第三者の目線で客観的に評価するのが改善見通しに関する評価書面です。単なる決算書の要約ではなく、「改善が見込める」と言える根拠を示すことが核心になります。先生が普段見ている決算数値は、この評価の出発点として不可欠な情報です。
それぞれの役割分担を整理する
顧問先を中心に、誰が何を担うのかを整理すると、連携の形が見えてきます。
| 担い手 | 主な役割 |
|---|---|
| 顧問税理士(貴所) | 税務・会計・決算・申告。顧問先との日常の関係を維持 |
| 中小企業診断士・公認会計士(KICK) | 企業評価書の作成と、改善見通しの客観的な評価 |
| 顧問先企業 | 受入れの主体。特定技能・育成就労の現場を担う |
要するに、特定技能の企業評価書は中小企業診断士・公認会計士といった経営評価の専門資格を持つ第三者が、「現状・原因・改善の見通し」を客観的に評価する書面であり、税務顧問の役割とは明確に分かれる、ということです。詳しくは特定技能の企業評価書の作成支援をご参照ください。
ご相談いただいても、顧問先や依頼者を奪うことは一切ありません。税務は貴所が担い続けていただき、KICKは企業評価書の作成だけを役割として引き受けます。連携や契約の義務もありません。
税務は貴所、企業評価書はKICK──役割分担で顧問先を守る

先生が最も気にされるのは「連携したら顧問先を取られるのでは」という点だと思います。結論として、その心配は不要です。KICKの連携は、税務顧問の関係を守ることを大前提に設計しています。
顧問先を奪わない連携スキーム
KICKがお引き受けするのは、あくまで企業評価書の作成という一点です。日常の税務・記帳・申告は貴所がそのまま担い続けます。顧問先との窓口も、これまで通り先生です。KICKが顧問先に税務の営業をかけることも、顧問契約を横取りすることもありません。役割が重ならないからこそ、安心して連携いただけます。
むしろ、財務がネックで止まっていた受入れを一緒に前へ進めることで、「この先生は難しい相談も解決に導いてくれる」という信頼が、貴所と顧問先の関係をより強くします。
先生の事務所が手に入れるもの
役割分担の連携によって、先生の事務所には次のような変化が生まれます。
- 目に見える変化:顧問先の「特定技能を採りたいのに債務超過で進まない」という難題に、その場で解決の道筋を示せる
- 時間の変化:企業評価書の作成という不慣れな業務を抱え込まず、貴所は本来の税務業務に集中できる
- 周囲からの変化:顧問先や紹介元からの評価が高まり、事務所の相談対応力そのものが強みになる
顧問料という大切なストック収入を守りながら、顧問先の受入れ実現という成果を、貴所の実務負担を最小限にして届けられます。顧問先の利益や人員体制が改善すれば、その先で高度な税務相談や組織づくりの提案につながる場面も増えます。目先の一件を超えて、顧問先との関係そのものが太くなっていく——これが役割分担による連携の本質的な価値です。
連携先としてのKICKコンサルティングの体制
KICKコンサルティングは、次の体制で「財務がネックで受入れが進まない」顧問先を支援します。
KICKの体制
- 代表・松本昌史が中小企業診断士・MBA(経営管理修士)・1級FP技能士
- 認定経営革新等支援機関(中小企業庁)/法人支援実績150社以上
- 企業評価書の作成に加え、その土台となる経営改善計画・資金繰り改善までワンストップで対応
- 東京・銀座本社。オンライン対応で全国の士業事務所と連携可能
税務のプロである先生と、企業評価のプロであるKICKが組むことで、顧問先は「税務も、企業評価書も、経営改善も」を一つのチームで受けられます。士業連携の枠組みについては、税理士・会計士事務所向けの連携パートナー募集のご案内もあわせてご覧ください。
顧問先が受入れを止めないための連携の進め方

債務超過の顧問先が受入れ審査に間に合わせるには、早い段階で役割分担を決めてしまうのが確実です。相談から企業評価書の完成までの流れを、具体的に見ていきます。
相談から企業評価書完成までの流れ
- 先生からの一次相談:顧問先の状況(受入れの種類・決算内容・期限)を共有いただく
- 要件の確認:企業評価書が必要か、どんな改善見通しを示せるかをKICKが診断する
- 資料の連携:決算書など必要資料は、貴所と顧問先から共有いただく
- 企業評価書の作成:中小企業診断士が現状・原因・改善見通しを客観的に評価し、書面化する
- 顧問先への納品:受入れ審査に用いる書面を、期限に間に合う形で仕上げる
先生の作業は、主に一次相談と資料の橋渡しです。企業評価書の作成という重い実務は、KICKが引き受けます。だからこそ、貴所の負担を抑えたまま顧問先の受入れを前に進められます。
育成就労への移行を見据えた備え
技能実習制度は、2027年に施行が予定されている育成就労制度への移行が進んでいます。制度が変わっても、「受入れ企業が継続的に人を雇える経営基盤を持つか」を問う考え方は残ると見込まれます。むしろ人材の確保競争が強まるなかで、財務に不安のある企業が改善見通しを示す重要性は、これまで以上に高まっていく可能性があります。
顧問先が育成就労への移行局面でつまずかないためにも、企業評価書と経営改善をセットで整えておく準備は、早いほど有利です。先生が「いざという時に頼れる連携先を持っている」こと自体が、顧問先にとっての安心材料になります。
まず顧問先が要件を満たすかを確かめる
「うちの顧問先の決算内容でも受入れを進められるのか」——そう迷う段階が、動き出す好機です。手続きの入り口でつまずいて採用の機会を逃すより、まず顧問先が要件を満たすか、どう企業評価書を組み立てるかを知ることが、現場を守る最短ルートになります。費用や具体的な進め方の詳細は、サービスページでご確認いただけます。
ご相談は、顧問先を奪うためのものではありません。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担のもと、まずは顧問先が要件を満たすかを一緒に確認します。無理な勧誘や契約の義務はありません。
よくある質問(FAQ)

Q. 連携すると、顧問先を奪われませんか
A. 奪いません。KICKがお引き受けするのは企業評価書の作成という一点で、税務・記帳・申告は貴所が担い続けます。顧問先の窓口も先生のままです。役割が重ならない設計なので、顧問契約に影響はありません。
Q. 企業評価書は、顧問税理士が作ってはいけないのですか
A. 企業評価書(改善見通しに関する評価書面)は、中小企業診断士・公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者による評価であることが求められます。税務顧問である先生の署名だけでは、作成者の要件を満たさない可能性があります。だからこそ役割分担が必要になります。
Q. 顧問先が債務超過でも、特定技能の受入れはできますか
A. 一律に不可ではありません。改善の見通しを示す企業評価書を用意することで、受入れを進められる場合があります。まずは顧問先の現状を診断することが第一歩です。
Q. 事務所側の実務負担はどの程度ですか
A. 先生の作業は、主に一次相談と、決算書など資料の橋渡しです。企業評価書の作成という重い実務はKICKが引き受けるため、貴所の実務負担・マンパワー消費は最小限に抑えられます。
Q. 育成就労制度に移行しても、企業評価書は必要ですか
A. 制度が変わっても、受入れ企業の経営基盤や継続性を問う考え方は残ると見込まれます。財務に不安のある顧問先ほど、改善見通しを示す準備を早めに整えておく意義は大きいといえます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 顧問先の状況や資料の揃い具合によって変わります。具体的な費用や進め方は、サービスページにてご確認ください。まずは無料相談で、必要な準備の全体像をつかんでいただけます。
Q. 連携パートナーとして申し込むには、どうすればよいですか
A. 税理士・会計士事務所向けの連携パートナー募集のご案内をご用意しています。顧問先の外国人材の受入れに備えて連携先を持っておきたい先生は、そちらからお問い合わせください。まずは情報交換からでも歓迎します。
まとめ

顧問先の外国人材の受入れは、企業評価書を正しく整えれば、債務超過の決算でも前に進められます。最後に要点を振り返ります。
- 特定技能の企業評価書=債務超過などの企業が受入れを続けるための「改善見通しに関する評価書面」
- サンプル・ひな形の穴埋めでは、受入れ審査に必要な根拠の説得力を満たしにくい
- 作成資格は中小企業診断士・公認会計士など経営評価の専門資格を持つ第三者にある
- 税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担が、顧問先を守る最短ルート
顧問先から特定技能の相談を受けたとき、「企業評価書はうちでは難しい」で終わらせるのは惜しい機会です。税務のプロである先生と、企業評価のプロであるKICKが役割を分けることで、顧問先の受入れ実現と、貴所への信頼を、同時に手に入れることができます。この安心を、共に手に入れましょう。
ご相談いただいても、顧問先や依頼者を奪うことは一切ありません。税務は貴所が担い続け、KICKは企業評価書の作成を役割として引き受けます。売り込みや契約の義務はありません。連携をお考えの先生は、連携パートナー募集のご案内もご覧ください。







コメント