
「羽田線の到着ラッシュに人が足りず、パートさんに無理を言って出てもらった。」「委託料は3年前からほとんど変わらないのに、時給は上げざるを得ない。」「決算書を見た顧問税理士から、債務超過ですねと言われてしまった。」
深刻な人手不足と、上がらない委託料のはざまで赤字が続き、気づけば債務超過に陥っているグラハン会社は、決して少数派ではありません。国土交通省の資料によれば、空港の地上支援業務を担う人材の有効求人倍率は5倍を超える水準で推移しており、採用市場での競争は年々厳しさを増しています。
それでも、航空需要そのものは回復に向かっており、むしろ人手が足りないからこそ、特定技能「航空」(空港グランドハンドリング区分)による外国人材の受け入れを検討する経営者が増えています。ところが、直近事業年度で債務超過の状態にあると、受入れ審査で「経営を安定的・継続的に行えるのか」という視点で厳しく見られてしまいます。ここで必要になるのが、中小企業診断士など公的資格を持つ第三者が改善の見通しを客観的に評価した「企業評価書(改善見通しに関する評価書面)」です。
日々の運航対応に追われながら、慣れない書類作成にまで手を回すのは容易ではありません。あなたの会社だけが特別に経営判断を誤ったわけではなく、業界全体が構造的な逆風にさらされているだけです。まずは現状を正しく整理し、次の一手を一緒に見極めていきましょう。
- 委託料が上がらず、赤字が続いているグラハン会社の経営者の方
- 人手不足で現場の残業・休日出勤が常態化している方
- 決算書で債務超過を指摘され、受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰にどう頼めばよいか分からない方
- 空港グラハン業が赤字・債務超過に陥りやすい構造的な3つの原因
- 放置した場合に受入れ審査や資金繰りで起きる悪化シナリオ
- 特定技能の受入れ審査で見落としがちな4つの落とし穴と対処法
- 企業評価書の作成を中小企業診断士に任せるメリット
- 受入れ後に会社がどう変わるか、具体的な未来像
問題の構造と、放置したときに起きること

空港グラハン業の赤字・債務超過には、単なる「人手不足だから仕方がない」では片付けられない構造的な原因があります。中小企業診断士として財務改善の現場に立ち会う中で見えてくるのは、次の3つの要因が絡み合っているという実態です。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 委託料の据え置き・価格転嫁の遅れ | 航空会社元請けとの契約は二次・三次委託の多重構造になりやすく、人件費上昇分を委託料に転嫁しにくい。国土交通省が2025年12月に「空港グランドハンドリング事業取引適正化ガイドライン」を策定したのも、この構造を是正する狙いから。 |
| 深刻な人手不足による稼働率の低下 | 国土交通省の資料によれば、空港の地上支援業務を担う人材の有効求人倍率は5倍を超える水準。不規則なシフトと長時間拘束という労働環境の厳しさが、採用と定着の両方を難しくしている。 |
| コロナ禍で膨らんだ借入金の返済負担 | 航空需要が急減したコロナ禍で資金繰り支援の借入に頼らざるを得なかった会社は、需要が回復した今も返済負担が重く、利益を圧迫し続けている。 |
一般社団法人 空港グランドハンドリング協会は、適正取引の推進・人材不足・業務効率化と先進機材の導入・安全堅持の推進という4つの課題を掲げ、国と連携した政策提言を進めています。これは一部の経営努力不足の会社だけの話ではなく、業界構造そのものが抱える共通の課題だという証です。大切なのは、赤字か黒字かではなく、なぜ赤字になっているのかを数字で説明できるかどうかです。原因が特定できていれば、それは弱点ではなく、改善計画の出発点になります。
売上ではなく採算構造そのものが崩れている
受託便数や取扱貨物量が去年と変わらないのに利益が残らない、という相談は珍しくありません。原因の多くは、路線別・便別の採算が「なんとなく」の感覚で管理され、1便あたりの人件費や機材費が可視化されていないことにあります。売上を追いかけるのではなく、利益が残る構造に転換することが、赤字体質から抜け出す唯一の道筋です。
人手不足と残業代が利益を静かに侵食する
人が足りない現場では、既存社員のシフトを詰め込んで乗り切ろうとする判断が働きがちです。その結果、残業代や休日出勤手当が固定費のように積み上がり、委託料が同じでも人件費だけが膨らむという構造に陥ります。さらに、拘束時間の長さと不規則なシフトが離職を招き、採用と教育にかかる費用がかさむため、せっかく採用できても定着せずに同じ穴を埋め続けることになります。人手不足を根性論で乗り切ろうとするほど、財務は静かに悪化していくことを、経営者自身が数字で把握しておく必要があります。
この状態を放置すると数か月後に何が起きるか
債務超過を放置したまま数か月が過ぎると、状況は静かに、しかし確実に悪化していきます。まず、金融機関からの追加融資が難しくなり、運転資金の確保に苦労するようになります。次に、採用市場では他社との条件競争に負け、既存社員の残業や休日出勤に頼らざるを得なくなります。人手不足の職場は離職も進みやすく、残った社員にさらに負荷が集中する悪循環に陥ります。そして特定技能の外国人材を受け入れようとした段階で、直近事業年度の債務超過が発覚し、企業評価書の準備が間に合わないまま審査に臨むケースも見られます。「今は忙しいから」と先送りにした数か月が、人材確保の機会そのものを失わせてしまうのです。
特定技能受入れ審査で見落としがちな4つの落とし穴

結論から述べます。空港グラハン業が債務超過の状態にあっても、特定技能の外国人材を受け入れることは可能です。ただし、やみくもに申請書類を整えるだけでは審査を通過できません。現場で相談を受けていると、次の4つの落とし穴に共通して引っかかっているケースが目立ちます。
- 赤字の原因を「人手不足だから」で済ませ、委託料や採算構造まで踏み込んで数値で説明できていない
- 委託料交渉や価格転嫁の遅れを放置したまま、根拠のない改善計画を書いてしまう
- 企業評価書を顧問税理士や行政書士だけに任せようとし、資格要件を満たさないまま提出期限が迫る
- 単年度の帳尻合わせに終始し、3年から5年先までの数値目標を伴う改善計画を用意していない
この4つのうち、特に見落とされがちなのが1つ目と4つ目です。改善計画は「頑張って利益を出します」という精神論では通りません。便別・路線別の採算、委託先ごとの契約条件、人員配置あたりの生産性など、管理会計の手法を用いて具体的な数値に落とし込む必要があります。
この点で頼りになるのが外国人技能実習・特定技能の企業評価書作成支援です。中小企業診断士が財務データを分析し、赤字の原因を客観的に整理したうえで、実現可能性の高い改善計画を数値付きで組み立てます。
具体的には、便あたり限界利益、人件費比率、委託契約ごとの採算といった管理会計の指標を整理し、どこにテコ入れをすれば改善計画の数値目標に届くのかを可視化します。「感覚」ではなく「指標」で経営を語れるようになること自体が、企業評価書の信頼性を大きく高めます。
損益分岐点分析で「あと何便で黒字化するか」を明確にする
管理会計の基本は、固定費と変動費を分解し、損益分岐点となる取扱便数や作業時間を割り出すことです。「あと何便の受託を確保すれば黒字化するのか」が数字で見えるだけで、経営判断のスピードは大きく変わります。この考え方は、特定技能の受入れによって人員が増えたときの採算ラインを示す資料としても、企業評価書の説得力を高める材料になります。
便別・路線別のパレート分析で稼働を集中させる場所を可視化する
もう一つ有効なのが、便別・路線別・貨物取扱別のパレート分析です。受託している便や業務区分ごとに収入と原価を並べてみると、実は利益の大半を一部の便や業務が支えており、別の業務がその利益を静かに食いつぶしている、というケースが少なくありません。どの業務に人員を厚く配置し、どの受託契約を見直すべきかが数字で分かれば、限られた人員をどこに充てるべきかの優先順位が明確になります。このデータは、企業評価書に添付する改善計画の根拠としても活用できます。
特定技能「航空」分野特有の受入れ要件も確認する
特定技能「航空」(空港グランドハンドリング区分)では、財務面の要件に加えて、当該空港の空港管理者から業務実施の承認を受けた事業者であることなど、分野固有の受入れ体制も求められます。財務改善の見通しと、分野固有の受入れ要件の両方が整って初めて、審査を安心して迎えられます。どちらか一方が抜け落ちていないか、早めに確認しておくことをおすすめします。
改善計画が動き出したとき、現場と通帳はどう変わるか

改善計画が絵に描いた餅で終わらず、実際に動き出したとき、会社にはどのような変化が訪れるのでしょうか。数字が「勘」から「事実」に変わることで、経営者の意思決定そのものが変わっていきます。3つの軸で具体的に描いてみます。
1つ目は、数字の変化です。便別・路線別の採算が数値で共有されるようになると、朝礼での会話が「今日は何人出せるか」から「どの便でどれだけ利益を残すか」に変わります。委託先との契約更改でも、根拠のある数字を示して交渉できるようになります。
2つ目は、時間の変化です。資金繰り表の赤字が徐々に縮小し、月末になっても支払いに追われる緊張感が和らいでいきます。経営者自身が金融機関との面談を「詰問される場」ではなく「進捗を報告する場」として迎えられるようになり、休日に資金繰りの心配で頭がいっぱいになることも減っていきます。特定技能で加わった人材が戦力として稼働し始めれば、これまで断らざるを得なかった受託の依頼にも対応できるようになります。
3つ目は、関係性の変化です。航空会社元請けや空港管理者からも「立て直しに本気で取り組んでいる会社」という評価が生まれ、次の契約更改でも信頼される存在になります。利益が残る構造と、外国人材を含めた次の担い手を、共に手に入れましょう。
なぜ自社対応だけではリスクが高いのか

企業評価書は、専門性の壁が特に高い書類です。財務諸表の分析、改善計画の数値設計、そして在留資格制度の要件理解という、性質の異なる知識が同時に求められます。顧問税理士に相談しても、外国人材の受入れ制度そのものは専門外であることが多く、逆に行政書士に相談しても、財務分析や改善計画の策定は専門外というケースが少なくありません。
さらに、経営者自身が自社の数字を評価しようとすると、どうしても楽観的な見通しに寄りがちです。第三者による客観的な評価だからこそ、審査を行う機関からの信頼を得られるという点を見落としてはいけません。時間をかけて自己流で書類を作成した結果、根拠不足を指摘されて再提出になれば、その間に人材確保のタイミングを逃すリスクもあります。だからこそ、専門家に任せる経営者が増えているのです。
また、日々の運航対応や現場のシフト調整に追われながら、決算数値の分析や改善計画の文書化にまとまった時間を割くこと自体が、多くの経営者にとって現実的ではありません。現場を止めるわけにはいかないからこそ、財務分析と書類作成は専門家に預け、経営者は本業に集中するという役割分担が、結果的に最短の解決策になります。
自己流で改善計画を作成した結果、便別・路線別の採算根拠が甘く、委託料交渉の経緯も数値化されないまま提出してしまい、審査で追加資料を求められて受入れ時期が数か月遅れた、という相談も実際に寄せられます。専門家に任せるかどうかの判断そのものが、受入れ時期を左右する経営判断だと捉えることが重要です。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援実績150社以上を持つ中小企業診断士事務所です。代表の松本昌史は、経済産業大臣登録の中小企業診断士として、財務分析から改善計画の策定まで一気通貫で支援してきました。空港グラハン業の特定技能・外国人技能実習の企業評価書作成支援では、まず財務データと赤字要因のヒアリングを行い、委託料の交渉状況や人員配置など貴社固有の事情を数値で整理します。次に、3年から5年の改善計画を損益分岐点分析などの管理会計手法で組み立て、最後に中小企業診断士としての客観的な評価を書面にまとめます。全国オンライン対応のため、来社の必要はありません。
よくある質問

Q. 債務超過があると特定技能の受入れは絶対に不可能なのですか。
A. 不可能ではありません。中小企業診断士など資格を持つ第三者による企業評価書を提出し、改善の見通しを客観的に示すことができれば、受入れの余地はあります。重要なのは、赤字の原因を明確にし、実現可能な改善計画を数値で示すことです。
Q. 空港グランドハンドリングは技能実習(育成就労)でも受け入れられますか。
A. 空港グランドハンドリング職種は、出入国在留管理庁が定める分野別運用方針において、育成就労制度の対象分野とはされていません。外国人材を受け入れる場合は、特定技能「航空」の枠組みを利用することになります。
Q. 企業評価書は誰が作成できますか。
A. 中小企業診断士または公認会計士のみが作成できます。顧問税理士であっても、税理士という資格だけでは企業評価書の作成者にはなれない点に注意が必要です。
Q. 委託が多重下請けの構造でも改善計画は認められますか。
A. 認められます。むしろ委託料の交渉状況や上位委託先との契約条件を整理して示すことが、改善計画の説得力を高める材料になります。
Q. 改善計画は何年分を用意すればよいですか。
A. 一般的には3年から5年先までの損益計算書・貸借対照表の改善シナリオを求められます。単年度の帳尻合わせではなく、複数年にわたる改善の道筋を数値で示す必要があります。
Q. コロナ禍の借入金の返済負担はどう説明すればよいですか。
A. 返済スケジュールと今後のキャッシュフロー見通しを数値で示し、返済負担が一時的な圧迫要因であり、事業そのものは改善に向かっていることを客観的に説明します。
Q. 特定技能「航空」の受入れ機関には他にどんな要件がありますか。
A. 財務面の要件に加えて、当該空港の空港管理者から業務実施の承認を受けた事業者であることなど、分野固有の要件を満たす必要があります。
Q. 何期連続の赤字だと審査で不利になりますか。
A. 連続赤字の期数そのものより、直近事業年度の債務超過の有無と、その原因が明確に説明できるかどうかが重視されます。連続赤字でも、改善の兆しを数値で示せれば評価は変わってきます。
Q. 委託先が航空会社1社にほぼ依存していても改善計画は作れますか。
A. 作成できます。特定の委託先への依存度が高い場合は、その依存関係を前提としたうえで、契約更改の時期や条件、便別の採算をどう積み上げていくかを数値で整理します。依存そのものを隠さず、リスクとして正しく開示し、対応策とセットで示すことが審査での信頼につながります。
Q. 顧問税理士や行政書士とはどのように役割分担すればよいですか。
A. 顧問税理士は日々の会計処理と税務申告を、行政書士は在留資格の申請書類作成を担う専門家です。中小企業診断士は、財務分析と企業評価書の作成という第三の役割を担います。三者がそれぞれの専門性を発揮することで、審査全体の質が高まります。
Q. 相談から企業評価書の完成までどれくらいかかりますか。
A. 財務データの整理状況によって異なりますが、まずは無料相談でヒアリングを行い、必要な資料と大まかな期間の見通しをお伝えします。受入れ時期から逆算して早めに着手することをおすすめします。
まとめ

空港グラハン業の債務超過は、経営努力が足りなかった証ではなく、委託料の据え置きと深刻な人手不足、コロナ禍の借入金返済という業界構造が重なった結果であることが多いのです。大切なのは、赤字の原因を数字で特定し、実現可能な改善計画を第三者評価とともに示すことです。4つの落とし穴を避け、管理会計の手法で利益が残る構造に転換できれば、債務超過の状態からでも特定技能による外国人材の受け入れは十分に可能です。
「うちの決算書を見せて、率直な意見を聞いてみたい。」そう思われたら、まずは現状を整理するところから始めてみてください。委託料の伸び悩みも人手不足も、業界全体が抱える共通の課題です。原因を数字で特定し、改善計画を第三者評価とともに示すという手順さえ踏めば、道は開けます。
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