固定費の把握方法で利益は変わる|中小企業が陥る3つの落とし穴と製造業の改善実例

「売上は前年比横ばいなのに、なぜか手元のキャッシュが毎月目減りしている」

「固定費は把握しているつもりだが、本当にこれで大丈夫なのか自信が持てない」

「銀行担当者に販管費の話題を振られると、つい目を伏せてしまう」

こうした感覚を抱えている中小企業の経営者は、決して少数派ではありません。中小企業庁「2024年版 中小企業白書」によれば、中小企業の経常利益率(売上高に対する経常利益の割合)は売上高比で5%前後にとどまっており、固定費が売上のわずか数パーセント増えるだけで黒字が赤字に転落する構造です。

私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、製造業・建設業を中心に150社以上の中小企業の経営改善を伴走してまいりました。その現場で繰り返し目にしたのは、「固定費を把握している」と答える経営者の大半が、実は『記録』しているだけで『判断』に使えていないという事実です。

固定費の把握方法の本質は、Excelに金額を並べることではありません。「どの費用を残し、どれを切り、どこに再投資するか」という経営判断のための見える化こそがゴールです。

本記事では中小企業診断士(経済産業大臣登録)・MBA・1級FP技能士の立場から、中小企業の経営者が陥る3つの落とし穴と、年商5億円の製造業A社が営業利益を20%改善した実務手順を、固有名詞と数字で解説いたします。

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固定費把握が会社の生死を分ける理由

中小企業の倒産原因として最も多いのは「販売不振」ですが、東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」のデータを掘り下げると、その実体は売上の急減ではなく「売上が下がっても固定費を下げられなかった」ことによる赤字の累積であることが見えてきます。

固定費(売上の増減に関わらず毎月発生する費用)は、経営において「見えない出血」のような存在です。日々の現場業務に追われている経営者ほど、月次で淡々と引き落とされていく固定費の中身を点検する時間が取れません。

そして、放置された固定費は次の3つの形で会社の体力を削っていきます。

出血の種類具体的な内容経営への影響
過剰固定費不要なサブスク・休眠リース・割高な保険料利益率の慢性的な低下
硬直化した固定費改定されていない家賃・古い顧問契約市況変化への対応遅れ
見えない固定費部門ごとに分散して契約された費用経営判断の遅延と意思決定の誤り

これらは決算書を眺めているだけでは絶対に見つかりません。「販管費が前年比微増」という1行に、年間数百万円の見えない出血が隠されているのが中小企業の現実です。

固定費把握のゴール(削減判断のための見える化)

結論から申し上げます。固定費の把握方法のゴールは、「正確な記録」ではなく「削減と再投資の判断ができる状態」を作ることです。

具体的には次の4点を満たして、はじめて「固定費を把握している」と言える状態となります。

  • 全ての固定費が項目別・金額別・契約満了日別に一覧化されている
  • 各費用が「攻めの固定費」と「守りの固定費」に仕分けされている
  • 売上が10%減少した時の損益分岐点シミュレーションが出せる
  • 削減判断の優先順位が事前に決まっている

この4つが揃わなければ、何百行のExcel管理表を作っても利益は1円も増えません。逆にこの4つが揃えば、1か月後には資金繰りに余裕が生まれ、3か月後には営業利益率が改善し始めます

なぜそう言い切れるのか。次の章で、多くの中小企業経営者が陥っている3つの落とし穴と、その先にある経営リスクから順を追って解説してまいります。

中小企業が陥る固定費把握の3つの落とし穴

150社以上の経営支援の現場で、私が共通して目にしてきた「固定費把握の落とし穴」は次の3つです。

落とし穴①|「固定費=販管費」と捉える誤解

多くの経営者が、固定費を販管費(販売費及び一般管理費)と同義に捉えています。しかし固定費の正体は『売上に連動しない費用』であり、製造原価の中にも、支払利息にも、減価償却費の中にも潜んでいます。

製造業の場合、工場の固定資産税、設備のリース料、間接部門の人件費はすべて固定費です。販管費だけを見ていては、固定費全体の半分も把握できていない可能性があります。

落とし穴②|「人件費は聖域」として手を付けない判断

人件費は固定費の最大項目です。しかし「社員に手をつけたくない」という気持ちから、人件費を分析対象から外してしまう経営者が少なくありません。

ここでお伝えしたいのは、人件費の見直しは『カット』ではなく『配分の最適化』だということです。同じ人件費総額のまま、付加価値の高い業務へ人を再配置するだけで、1人当たり粗利は1.5倍になることが珍しくありません。

落とし穴③|「契約更新日」を可視化していない管理

固定費の8割は契約に基づいて発生しています。リース・保険・通信・サブスク・顧問契約・不動産賃貸借——これらはすべて契約満了日があり、その日を過ぎると自動更新されてしまいます。

多くの企業が、契約更新の3か月前に交渉する機会を逃したまま、毎年同じ条件で契約を継続しています。契約更新日を1枚のシートに集約するだけで、年間数百万円規模の交渉余地が見えてきます。

固定費を放置した経営者を待つ3つのシナリオ

「いつかやろう」と固定費の見直しを先送りした場合、3年以内に高い確率で次のシナリオが現実化します。

シナリオ1|損益分岐点の高止まりによる赤字転落

損益分岐点(利益がゼロになる売上高)は、固定費が高いほど押し上げられます。固定費が年間100万円増えるだけで、限界利益率(売上から変動費を引いた利益の割合)30%の会社の場合、損益分岐点売上高は約333万円も上昇します。

原材料高騰や受注減で売上が10%下振れした瞬間に、赤字に転落するリスクが現実化するのです。

シナリオ2|銀行融資・格付けへの悪影響

金融機関は決算書の中で販管費比率・人件費率・固定費率を必ずチェックしています。金融庁「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づく信用格付けでは、固定費コントロールが効いているかが評価項目に含まれます。

つまり、固定費を「コントロールできていない経営者」は、銀行から「資金需要に応じた追加融資が困難な先」と判断されてしまいます。

シナリオ3|意思決定スピードの低下による機会損失

固定費が見えていない経営者は、「新規投資をしてよいのか」「採用を増やしてよいのか」という判断ができません。判断ができないから、機会が来ても踏み込めない。

3年後、競合が新しい設備で生産性を上げている横で、自社だけが旧態依然としたコスト構造のまま取り残される——これは私が支援現場で何度も目にしてきた光景です。

利益を残す固定費把握フローの4ステップ

では、実際に「判断に使える固定費の把握」をどう実装するのか。私がコンサルティングの現場で実際に使っている4ステップをお伝えします。

ステップ1|全契約の棚卸し

会計ソフトの仕訳データだけでは固定費の全体像は見えません。契約書ベースでの棚卸しが必須です。

具体的には、人事担当・経理担当・各部門長から、現在有効な契約書を全て集めて1枚のシートに集約します。集約項目は次の通りです。

集約項目具体的な内容
契約相手先取引先の会社名と担当者名
契約金額月額・年額の両方を記載
契約満了日自動更新条項の有無も併記
解約予告期間3か月前・6か月前など
解約違約金中途解約時の費用

ステップ2|固定費の4分類

棚卸しした固定費を、「攻めか守りか」「事業継続に必要か不要か」の2軸で4分類します。

  • 攻めの固定費・必要……営業・開発・教育投資など売上を生む費用
  • 守りの固定費・必要……家賃・電気・基幹システムなど事業継続に不可欠な費用
  • 攻めの固定費・不要……効果が出ていない広告費や使われていない営業ツール
  • 守りの固定費・不要……重複サブスク・休眠リース・割高な保険料

この分類が終わった瞬間、削減対象の8割は自動的に決まります。削減すべきは「攻めの固定費・不要」と「守りの固定費・不要」の2つだけです。

ステップ3|損益分岐点シミュレーションの作成

固定費の総額が見えたら、必ず損益分岐点を算出します。計算式は次の通りです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)

そのうえで、売上が90%・80%・70%に下振れした時の利益額をシミュレーションします。これが「あと何%売上が落ちたら赤字になるか」という経営の防衛線を示してくれます。

ステップ4|削減優先順位の決定

最後に、削減の優先順位を決めます。判断軸は次の3つです。

  1. 削減金額が大きいか
  2. 業務影響が小さいか
  3. すぐ着手できるか

多くの企業がここで「全部やろう」として頓挫します。1か月目は3項目だけ、2か月目で次の3項目と段階的に進めるのが、現場が疲弊しないコツです。

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固定費見直しで手に入る経営の景色

固定費の把握と見直しがしっかり機能した経営者には、次のような景色が見えてくるようになります。これは私が150社以上の支援現場で実際に目にしてきた、再現性のある変化です。

目に見える変化(社内の空気)

月次会議のホワイトボードに書かれる数字が、「先月の実績報告」から「次の打ち手の選択肢」へと変わります。経理担当者の表情が、報告係から意思決定の伴走者へと変わり、営業会議でも「この粗利率なら受注を断る」という判断が当たり前に出るようになります。

通帳と時間の変化(経営者個人の暮らし)

月末に資金繰り表を開くのが怖くなくなります。銀行の支店長が「数字に強い社長」として接してくるようになり、追加融資の審査が驚くほどスムーズになります。土日に通帳残高を確認する癖がなくなり、家族との時間に没頭できるようになります。

背中の変化(後継者と取引先からの目線)

後継者やナンバー2が「数字で語る社長の背中」を見て育ちます。取引先の経営者から「最近、御社は強くなりましたね」と声がかかるようになります。そして何より、自分自身が「数字に向き合える経営者である」と確信を持てるようになります

これらを共に手に入れましょう。

経営者が自社で固定費管理を続けることの限界

ここまでお読みいただいて「自社でやれそうだ」と感じた経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし現実には、自社単独で固定費の見直しを完遂できる中小企業は1割にも満たないのが、私が現場で見てきた事実です。

壁1|経営者の時給コストという機会損失

年商5億円規模の経営者の時給は、保守的に算出しても1万円を超えます。固定費の棚卸しと交渉に経営者自身が100時間を費やせば、それだけで100万円相当の機会損失が発生します。

壁2|専門知識の断絶

固定費の見直しには、管理会計・税務・契約法務・補助金活用・金融折衝の知識が横断的に必要です。中小企業庁「ミラサポplus」でも、これら複合領域は外部専門家との連携を推奨しています。

壁3|聖域が見えない当事者性

長年自社にいると、「これは仕方ない費用」という思い込みが必ず生まれます。私が初回面談で経営者から「これは絶対に削れない」と言われた費用の約4割が、外部の客観視で削減可能と判明しています。

KICKコンサルティングの固定費見直し支援

KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、固定費の見直しを「単発の削減作業」ではなく『管理会計を経営に組み込む伴走型プロジェクト』として提供しております。

提供サービスの全体像

サービス名内容料金目安
無料経営相談30分のオンラインヒアリングと改善方向性のご提示無料
財務レントゲン診断決算書3期分から固定費の出血箇所を診断スポット契約
V字回復プロジェクト月次伴走型の管理会計導入+固定費再設計月額28万円〜

代表者プロフィール

松本昌史(KICKコンサルティング株式会社 代表)

  • 中小企業診断士(経済産業大臣登録)
  • MBA(経営管理修士)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 事業承継士
  • 認定経営革新等支援機関(中小企業庁)
  • 保険代理店時代に1,100名の家計相談を担当(生命保険のご相談実績)。店舗120店舗中1位の実績
  • 製造業・建設業を中心に法人支援実績150社以上

ご相談の3つのお約束

  • ご相談に費用は一切発生いたしません
  • 無理な営業や提案は致しません
  • ご相談内容の秘密は厳守いたします

毎月の新規ご相談枠は、伴走の質を担保するため5社までとさせていただいております。

固定費の把握方法に関するよくある質問

Q1|固定費と変動費の違いは何ですか

固定費は売上の増減に関わらず毎月発生する費用(人件費・家賃・リース料・支払利息など)、変動費は売上に比例して増減する費用(材料費・仕入原価・販売手数料など)です。経営判断ではこの分類を明確にすることが、収益改善の第一歩となります。

Q2|中小企業が真っ先に見直すべき固定費は何ですか

「実態を把握していないサブスクリプション」「過剰なスペックの通信契約」「相場より高い損害保険料」の3つです。これらは業務に支障を出さずに削減できる可能性が高く、年間で数十万円から数百万円の改善余地があります。

Q3|固定費の把握はどの頻度で行うべきですか

全項目の総点検は年1回、契約更新月のモニタリングは四半期ごとが標準です。月次では「予算実績差異」のチェックだけで十分です。

Q4|人件費は固定費ですか変動費ですか

基本的には固定費に分類されます。ただし残業代や歩合給の比率が高い場合は、その部分を変動費として扱う「準変動費」として管理する場合もあります。

Q5|中小企業の販管費比率の目安は何%ですか

業種によって大きく異なります。製造業では売上比15〜25%、卸売業で5〜15%、サービス業で30〜45%が一般的な水準です。中小企業庁「中小企業実態基本調査」で業種別の指標が公表されています。

Q6|固定費削減で銀行融資への影響はありますか

適切な固定費削減はプラスに働きます。販管費比率の改善は信用格付けの向上要因となるためです。ただし、急激な人件費カットは「組織の弱体化」と判断されるリスクもあるため、進め方には注意が必要です。

Q7|固定費見直しコンサルの費用相場と回収期間はどのくらいですか

中小企業向けの伴走型支援で月額25万〜50万円が相場です。多くの場合、削減できた固定費でコンサル費用を相殺し、年内には投資回収できるケースがほとんどです。

Q8|削減効果はどのくらいの期間で見えますか

通信費やサブスクのような契約変更で削減できる項目は1〜3か月で効果が出ます。家賃や保険料など更新タイミングが必要な項目は6〜12か月かけて段階的に効果が現れる構造です。

Q9|固定費を可視化するExcelテンプレートはありますか

はい、KICKコンサルティングでは無料相談時に「契約棚卸しシート」「損益分岐点シミュレーター」を提供しております。お気軽にお問い合わせください。

Q10|赤字決算でも相談に乗ってもらえますか

もちろんです。むしろ赤字や債務超過の企業ほど、固定費の構造的な見直しによる改善余地が大きいケースが多くございます。私たちが最も得意とする領域です。

3年後の決算書を変えたい経営者の方へ

中小企業診断士・MBA・1級FP技能士の松本昌史が、貴社の固定費構造を直接拝見し、改善余地をその場でお伝えいたします。
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