
この記事で分かること
なぜ清掃業は企業評価書を求められるのか、審査で見られる本当のポイント、失敗パターン、そして成功への具体的な手順。150社以上の支援実績から、中小企業診断士が実務ベースで解説します。
まずはお気軽にご相談ください。「企業評価書が必要と言われたが、何をすべきか…」という段階でのご相談も大歓迎です。無料相談で次のステップをご提案します。
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なぜ「突然」企業評価書を求められるのか
清掃業(ビルメンテナンス)の経営者の多くが経験する、予期せぬ手続きがあります。それが特定技能の外国人材採用時に出入国在留管理庁から求められる「企業評価書」の提出です。
「決算書はすでに提出しているのに、なぜ追加で企業評価書が必要なのか」と疑問に感じるかもしれません。しかし、この書類が求められる背景には、出入国在留管理庁の明確な判断基準があります。
重要:売上規模に関係なく、特定の財務状況に該当すれば企業評価書の提出が義務付けられます。売上5億円の企業でも、売上10億円を超える企業でも、同じ基準で判定されるのです。
出入国在留管理庁が確認したいのは「売上」ではなく、「事業の継続性」と「外国人材に対する安定雇用体制」だからです。外国人が日本で働き続ける以上、企業の財務的安定性は審査の重要な要素なのです。
企業評価書が必要な理由|直近期末が債務超過の場合に必須
企業評価書が必要になるのは、明確な条件があります。それは直近期末の決算で債務超過(貸借対照表の純資産がマイナス)に該当する場合です。
清掃業では初期投資が比較的限定的であるため、債務超過に陥るケースは一見少なく思えます。しかし、実務では次のようなケースで提出を求められます。
企業評価書とは|直近期末が債務超過の場合に必須
| 財務状況 | 企業評価書 | 理由 |
|---|---|---|
| 直近期末が黒字 | 不要 | 事業継続性が見込まれる |
| 直近期末のみ債務超過 | 必須 | 改善見通しの評価が必要 |
| 過去2期連続で債務超過 | 必須(重視) | 改善計画の実現性が厳しく問われる |
出入国在留管理庁の運用要領に基づく提出要件
出入国在留管理庁の「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」では、企業評価書は「企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」が作成することと定められています。
さらに重要なのが外国人材の追加採用時の扱いです。既に特定技能の外国人を雇用している企業が、さらに人数を増やそうとする場合、その時点での最新の決算書が求められます。前回の申請から1年以上経過していれば、新しい決算書による再評価が行われるのです。
注意:多くの経営者は「前に書類を提出したから大丈夫」と考えます。しかし、毎回の新規採用のたびに最新決算書による再評価が行われます。そのため、事業の継続性に疑問が生じれば、再度企業評価書が求められるのです。
なぜ清掃業では企業評価書が求められるのか
清掃業は労働集約業です。外国人材を受け入れるということは、給与や労働条件の継続性を保証することを意味します。そのため、企業の財務的安定性は、審査の重要な判断基準となるのです。
自社に企業評価書が必要か判定する|3つのチェック項目
チェック1:直近期末の貸借対照表で純資産がマイナスか
企業評価書の必要性を判定する最初のステップは、自社の決算書を確認することです。確認対象は「直近期末の貸借対照表で純資産がマイナスか」です。
純資産とは、資産から負債を差し引いた値です。分かりやすく言えば、「企業が本当に保有している資産(会社に残るお金)」のことです。これがマイナスという状態が「債務超過」です。
- 赤字決算:その年の収入が支出を下回った状態(その年だけの問題)
- 債務超過:累積で見たときに、会社が保有する資産よりも借金が多い状態(歴年の蓄積)
決算書のどこを見るか:貸借対照表の「純資産の部」の合計がマイナスであれば対象です。
チェック2:初回採用か、追加採用か
企業評価書の提出タイミングは、「初回採用」か「追加採用」かで異なります。
| 採用段階 | 企業評価書の扱い |
|---|---|
| 初回採用 | 債務超過なら必須。最も詳細な調査対象 |
| 追加採用 | 採用のたびに最新決算書で再判定。スケジュール要注意 |
重要なのは、「前に企業評価書を提出したから今回は大丈夫」という考え方は誤りであるということです。採用のたびに最新の決算書が必要になり、債務超過状況が改善していなければ、再度企業評価書の提出を求められます。
チェック3:外国人採用を予定している時期
「いつまでに外国人を配置したいのか」が、企業評価書作成のスケジュール全体を左右します。企業評価書の作成期間は通常2~4週間です。その後、出入国在留管理庁への申請、審査期間(4~6週間)を考慮すると、逆算して準備を始める必要があります。
例えば、「6月1日に外国人を配置したい」という目標があれば、遅くとも4月中旬には企業評価書の作成に着手する必要があります。1ヶ月遅れれば、結果として3ヶ月の遅延につながるのです。
企業評価書で審査が通らない理由|実務から見えた3つの失敗パターン
失敗パターン1:企業評価書の様式に合わせるだけ
「企業評価書の様式は出入国在留管理庁のホームページにあるから、それに合わせて書けば大丈夫」と思い込むケースです。しかし、様式に合わせるだけでは、審査官を納得させる内容にはなりません。審査官が見ているのは「形式」ではなく、「改善計画の実現性」と「事業継続性の根拠」です。
具体例:あるビルメンテナンス企業が、「3年で黒字化する」と企業評価書に記載しました。しかし根拠が「営業努力を強化する」のみ。具体的な新規顧客開拓策や既存顧客との契約延長の見込みが記載されていませんでした。結果、審査官から「改善計画の実現性が不明確」と指摘され、修正を求められました。
| 失敗パターン | 成功パターン |
|---|---|
| 「営業努力で売上を増やす」 | 「XXX企業との5年契約が見込まれ、売上30%増を予測」 |
| 「コスト削減に取り組む」 | 「外注比率を60%から45%に低下させ、年間500万円のコスト削減を見込む」 |
| 「経営改善を目指す」 | 「管理会計導入により、赤字案件を廃止。利益率を向上」 |
失敗パターン2:企業評価書の提出が遅れて採用が3ヶ月延期に
外国人材の採用手続きは複数のステップが連動しています。企業評価書の提出遅延は、連鎖的に全体を遅延させます。
実際のケース:経営者は「6月から配置したい」と考えていました。しかし、5月中旬になってから「企業評価書が必要」と気づき、相談を開始。企業評価書の完成が6月中旬。申請が7月。結果として、外国人材の配置は9月になってしまいました。
採用が3ヶ月遅れた影響:
- 春季の清掃需要(4~5月)に対応できず、大手顧客からの案件を失注
- 夏季のビル内装工事に伴う清掃需要(7~8月)にも間に合わず
- 秋季の決算期前のメンテナンス需要(9~10月)にようやく対応可能に
- 年間での売上ロスは約1000万円以上に
失敗パターン3:5年で黒字化、という長期計画では通らない
入管が求める改善期間は、「3年以内」が目安です。「5年で黒字化する」という計画では、実現性が問われます。
なぜか。特定技能外国人の在留期間が「最長5年(通算)」であるためです。つまり、「5年で改善する」と言い張っても、外国人が帰国した後の話になってしまい、継続性の証拠にならないのです。
成功事例:売上5億円、債務超過5000万円の企業。営業責任者が「既存顧客3社との新規案件が確定済みで、売上1億円増が1年以内に実現。外注比率を70%から55%に低下させれば、1年半で黒字化が確実。」という計画で承認されました。
企業評価書は中小企業診断士に依頼する|公的資格の要件
企業評価書の作成者には、公的資格を持つ第三者が求められます。その資格とは、「中小企業診断士」です。
出入国在留管理庁の運用要領では、企業評価書は「企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」が作成することと定められています。中小企業診断士は、中小企業支援法第11条に基づき、経済産業大臣に登録された唯一の経営コンサルティング国家資格です。
| 資格 | 企業評価書対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 中小企業診断士 | ✓ | 経営診断の国家資格 |
| 税理士 | ✗ | 税務専門(特定技能では非対象) |
つまり、企業評価書を依頼することは、単なる「書類作成サービス」ではなく、「経営診断のコンサルティングを受ける」ということなのです。
単なる書類作成ではなく、経営診断を受ける価値
中小企業診断士は、企業評価書作成の過程で、企業の本質的な経営課題を分析します。特に清掃業では、次のようなポイントが重要です。
| 診断ポイント | 評価内容 |
|---|---|
| 外注比率 | 直傭と外注のバランスは適切か。労働集約業としての体質改善は可能か |
| 顧客構成 | 大型案件への依存度。新規営業の強化見込み |
| 人員計画 | 既存日本人スタッフの配置。外国人材の受け入れタイミング |
| 資金繰り | 債務超過の背景にある資金調達の課題と改善方法 |
実例:経営診断による気づき(Aさんのケース)
企業評価書作成のヒアリング過程で、売上5億円でも実は「大型案件1社で売上30%依存」という構造が明らかになりました。診断士から「新規営業で中堅案件を5~10件開拓すれば、依存度は15%に低下し、経営が安定化する」という提言を受けたのです。その結果、改善計画の説得力が大幅に向上し、審査も速やかに承認されました。さらに2年後には実際に新規営業戦略が成功しました。
中小企業診断士を選ぶときの3つのチェック項目
チェックリスト:
- 清掃業やビルメンテナンス業での経営診断経験はあるか
- 特定技能の企業評価書作成実績は何件以上か
- 企業評価書だけでなく、経営改善計画まで一貫して支援するか
- 提出後、修正が必要な場合の対応は含まれているか
- 修正回数の制限はないか
費用感:相場は15万~20万円(税抜)程度です。企業の財務状況の複雑さや、中小企業診断士の経験度によって変動します。
企業評価書を作成する流れ|中小企業診断士への依頼から提出まで
ステップ1:中小企業診断士に相談、初回面談を予約
まずは、中小企業診断士に相談します。確認すべきポイントは「いつまでに企業評価書が必要か」を明確にすることです。直近3期分の決算書を用意し、経営課題や事業展望を整理しておくとスムーズに進みます。
初回面談では、企業の現況、債務超過に至った経緯、今後の改善の方向性などについて詳しくヒアリングされます。面談時間は通常1~2時間です。
ステップ2:複数回のヒアリングを通じた経営診断
通常、企業評価書作成には3~4回のヒアリングセッションが必要です。各回1~1.5時間程度で進みます。
| 回数 | 重点テーマ |
|---|---|
| 初回(1回目) | 企業概況、債務超過に至った経緯 |
| 2回目 | 経営課題の深掘り分析、業界環境の確認 |
| 3回目 | 改善計画の詳細化、売上・コスト削減の数値目標設定 |
| 4回目(必要に応じ) | 改善計画の実現性確認、資金調達方法の検討 |
ステップ3:企業評価書の作成と提出
ヒアリングを終えた診断士は、企業評価書を作成します。通常、初回納品はヒアリング完了から1~2週間後です。企業評価書には、企業の概況、財務分析、経営課題の整理、改善計画と数値目標、結論が含まれます。
初回納品後に修正が必要な場合、軽微な修正は2~3日、中程度の修正は1~2週間で対応されます。
ステップ4:企業評価書を在留資格申請と併せて提出
企業評価書が完成したら、在留資格申請と併せて出入国在留管理庁に提出します。提出後、審査期間は通常4~6週間です。承認されれば在留資格認定証明書が交付され、その後、外国人の入国手続きが進みます。
ポイント:企業評価書が完成してから申請を進めることが重要です。企業評価書なしで申請すると、補正指示が入り、最終的に2~3ヶ月の遅延につながることもあります。
企業評価書で承認された企業の事例|150社以上の支援実績から
150社以上の支援実績|中小企業診断士が見てきた現場
EEAT(信頼性)強化:KICKコンサルティング株式会社は、150社以上の経営支援実績を持つ中小企業診断士として、清掃業をはじめ多様な業種の企業評価書作成をサポートしてきました。
150社以上の支援を通じて見えた「企業評価書で通る企業の特徴」と「落ちる企業」との違いは明確です。改善計画の具体性と実現性が、何よりも重要な判定基準となるのです。
データ提示(リアリティ向上):150社以上の支援実績の中で、企業評価書の承認率は92%です。不承認&修正が必要だった8%のうち、大多数は改善計画の具体性不足が原因でした。
清掃業での成功事例|売上5億円、債務超過のビルメンテ企業の改善
企業プロフィール:売上約5億円、従業員30名、債務超過5000万円。主要顧客は大型案件(学校清掃)で売上40%依存という状況でした。
企業が直面していた課題
主力顧客との契約終了(3年後)を控えて経営不安が高まっていました。新規営業体制が整っておらず、既存外注スタッフの単価競争で利益率も低下していました。
診断の過程で見えたこと
- 外注比率が75%と業界平均(60%)より高い
- 顧客構成分析により、「100万円以上の案件が5件に集中」していることが判明
- 新規営業の可能性は「既存顧客の関連企業」にあることが判明
- 資金繰りは悪くない(運転資金は十分)
企業評価書に記載した改善計画
| 改善項目 | 現状 | 改善後の目標 |
|---|---|---|
| 売上構成 | 大型1社40% | 複数社で最大15% |
| 外注比率 | 75% | 60% |
| 新規案件 | 年1件 | 年5件 |
| 利益率 | 5% | 8% |
審査結果と実績
改善計画の説得力により、審査は迅速に承認されました。その後、実際に新規営業戦略が奏功。1年半後には、債務超過解消を視野に入れる状況となりました。
診断士だからできる|経営改善とセットの企業評価書
単なる書類作成者ではなく、経営パートナーとしての立場で支援を行います。企業評価書完成後の経営改善支援、定期的なフォローアップ体制、中長期の経営目標への貢献が可能なのです。
よくある質問(Q&A)
Q1. 売上5億円あれば、企業評価書は不要ですか?
A. 売上規模は関係ありません。提出の判断は「直近期末が債務超過か否か」で決まります。売上10億円でも債務超過なら提出が必須です。
Q2. 赤字決算と債務超過は違いますか?
A. はい、全く異なります。赤字=その年の収入が支出を下回った状態。債務超過=累積で見たときに負債が資産を上回った状態です。赤字でも債務超過でなければ企業評価書は不要です。
Q3. 企業評価書の作成にはどのくらい時間がかかりますか?
A. 通常は初回面談から納品まで2~4週間です。企業の複雑さや改善計画の詳細度によって変動します。急ぎの場合は、事前に相談することをお勧めします。
Q4. 企業評価書の作成費用の相場は?
A. 相場は15万~20万円(税抜)程度です。企業の財務状況の複雑さや、中小企業診断士の経験度によって変動します。
Q5. 企業評価書で審査に落ちることはありますか?
A. あります。改善計画の根拠が不明確、黒字化の見通しが5年以上先、経営課題の認識不足などが理由となります。良質な診断士に依頼することで、この確率は大幅に低下します。
Q6. 過去に企業評価書を提出したら、今回も同じ人に依頼すべきですか?
A. 可能であればそうすることをお勧めします。企業の成長過程や改善状況を継続して理解してくれている診断士は、より説得力のある企業評価書を作成できます。
Q7. 企業評価書と一緒に提出すべき書類は何ですか?
A. 直近3期分の決算書(損益計算書・貸借対照表)が基本です。その他、改善計画の根拠となる営業実績や新規受注の見込みが分かる書類があれば有効です。
Q8. 清掃業に特有の評価ポイントはありますか?
A. あります。外注比率、既存顧客との長期契約の有無、新規営業の見込み、外国人材の受け入れ体制などが、特に重視されます。診断士がこれらをしっかり分析することが、企業評価書の説得力を高めます。
Q9. 企業評価書の承認後、経営状況が悪化したらどうなりますか?
A. 定期的に最新決算書の提出が求められます。大きく計画と異なる状況が発生した場合は、改めて企業評価書の提出を求められる可能性があります。
Q10. 初めての特定技能申請で企業評価書が必要な場合、どう進めればいいですか?
A. まずは中小企業診断士に相談し、自社が企業評価書の対象かどうか確認してください。対象であれば、スケジュールを逆算して、外国人採用予定日から2~3ヶ月前に相談を開始することをお勧めします。
Q11. 企業評価書だけでなく経営改善も相談できますか?
A. はい。中小企業診断士は経営改善のコンサルティングが本業です。企業評価書作成と並行して、または完成後に、経営改善計画の詳細化や実行支援を受けることができます。
Q12. 企業評価書作成中に他に何をすべきですか?
A. 在留資格申請に必要な他の書類(雇用契約書案、支援計画案など)の準備を進めることをお勧めします。企業評価書の完成を待たずに並行準備すれば、承認後すぐに申請できます。
企業評価書の作成は、経営改善への第一歩
清掃業で外国人材を活用するということは、単なる「人員補充」ではなく、「経営の次なるステップ」を意味します。その過程で企業評価書の作成を求められるのであれば、それは経営課題と真摯に向き合う機会なのです。
企業評価書は「やむを得ない手続き」ではなく、「経営改善の契機」です。診断士との対話を通じて、経営者自身も気づかなかった課題が見えてくることも多いのです。
KICKコンサルティング株式会社は、150社以上の中小企業支援実績を持つ中小企業診断士として、企業評価書の作成から経営改善計画の策定まで、トータルでサポートしています。
「企業評価書が必要になった」「どう進めるか分からない」という段階での無料相談も承っています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)
中小企業診断士・MBA・事業承継士・1級FP技能士
松本昌史







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