「そろそろ承継のことも考えないといけませんね」。税理士や銀行の担当者から、そう声をかけられた。
けれども会社は今日も回っている。自分もまだ現場に立てる。だから「その話はもう少し先でいい」と、そっと横に置いてきた。そんな状況ではないでしょうか。
結論から申し上げます。「まだ早い」と感じている今が、選べる道のいちばん多い時期です。
事業承継の準備では、残された時間そのものが選択肢の数になります。時間が足りなくなるほど、選べる道は一つずつ静かに消えていきます。
逆に言えば、着手が早いほど打てる手は増えます。焦って決める必要はありません。順番どおりに進めれば間に合います。
- 承継の準備をいつから始めるか迷う方
- 60歳を前に何をすべきか知りたい方
- 後継者候補はいるが話せていない方
- 承継のロードマップを描きたい方
- 準備に何年かかるか見当のつかない方
- 事業承継の準備とは、何から始める作業なのか
- 先送りしたときに失われていく4つの選択肢
- 60歳から逆算する4つの節目とロードマップ
- 現状把握と後継者育成にかかる時間の実像
- 税理士・司法書士・弁護士との役割の切り分け
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として、法人支援150社以上の実績で承継の全体設計に伴走してきました。
読み終えるころには、自社が今どの節目にいるのか、そして来月から何に手をつければよいかが分かります。
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事業承継の準備を先送りすると、親族内承継で失われる4つの選択肢

結論を先に述べます。準備を先送りしても、会社がすぐ傾くわけではありません。減っていくのは「選べる道の数」です。
この記事が前提に置くのは親族内承継です。息子・娘・甥姪など、親族の後継者へ会社を引き継ぐ形を指します。
ただし、ここで示す準備の順序は承継の型が変わっても同じです。役員・従業員への承継でも、第三者への承継でも、最初にやることは変わりません。
事業承継の準備とは何をする作業か
事業承継の準備とは、会社の株式・財務・保証・保険の現状を把握し、誰にどう引き継ぐかを決める一連の作業のことです。後継者が経営できる状態まで整えるところまでを含みます。
株式の名義を書き換えることだけを指すのではありません。名義変更は最後の一手にすぎません。
その手前に、現状の棚卸しと、承継の型を決める話し合いと、後継者の育成があります。この3つに時間がかかります。
先送りで消えていく4つの選択肢
時間が足りなくなると、まず次の4つが選べなくなります。順に見ていきます。
- 承継の型を選び直す余地
- 分散した株式をまとめ直す余地
- 後継者を時間をかけて育てる余地
- 個人保証と保険を組み替える余地
1つ目は、承継の型の選択肢です。親族内承継を軸に考えていても、後継者の意思が固まらないことがあります。
時間があれば、役員・従業員への承継や第三者への承継も並べて比べられます。時間がなければ、残った道を選ぶしかありません。
2つ目は、株式です。先代の相続で株式が兄弟へ分かれたまま、という会社は少なくありません。
買い取りの話し合いには時間がかかります。相続が起きてから交渉すると、相手が増えて話がまとまりにくくなります。
3つ目は、後継者の育成です。これは最も時間を必要とし、しかも短縮しにくい項目です。
金融機関や主要取引先との関係は、一朝一夕には引き継げません。同席を重ねて顔をつなぐ年月が要ります。
4つ目は、個人保証と保険です。経営者保証をどう扱うかは、後継者が引き受けを決断できるかどうかに直結します。
法人保険も同じです。契約時の目的と、承継期の目的がずれたままになっている会社があります。
「元気なうちに」が最大の条件になる理由
準備には、経営者本人の判断と署名が要る場面が何度もあります。株式の扱い、規程の整備、金融機関との交渉。どれも本人が動ける状態でこそ選択肢が広がります。
体調を崩してからでは、選ぶ余裕そのものがなくなります。元気で判断できるうちに着手できることが、いちばんの強みです。
放置したときに起きやすいこと
・後継者が保証の重さを知らないまま、引き受けを迷い続ける
・株式が親族に分散し、意思決定に他の株主の同意が要る状態になる
・引き継ぐ相手が決まらないまま、取引先や金融機関の不安が先に広がる
要するに、先送りは失敗ではありません。ただし、放っておくほど道は細くなります。今なら太い道を選べます。
事業承継の準備はいつから始めるか|60歳から逆算する4つの節目

結論を先に述べます。事業承継の準備は、次の4つの節目を順に踏みます。この順番を入れ替えると、あとで戻ることになります。
- 現状把握(株主・財務・個人保証・保険の洗い出し)
- 承継の型を決める(親族内承継を軸に、家族と後継者の合意をつくる)
- 後継者の育成と権限移譲
- 実行と、引継ぎ後の伴走
ロードマップとは、この4つの節目を時間軸の上に並べ、いつ何を終わらせるかを一枚にした計画表のことです。
節目1 現状把握=事業の棚卸しで会社の今を数字と事実にする
最初にやるのは、決断ではありません。棚卸しです。
事業の棚卸しとは、会社の事業の中身と土台を調べ、稼ぐ力の源泉とリスクを明らかにする調査のことです。承継の準備では、これを自社のために行います。
承継の準備で見るのは、主に次の4点です。
- 株主 株主名簿と実態は一致しているか。名義株や所在の分からない株主はいないか
- 財務 実態の利益はいくらか。役員貸付金や含み損益はどうなっているか
- 個人保証 どの借入に、誰の保証と担保が付いているか
- 保険 契約の目的・保険金額・受取人は、今の会社の姿と合っているか
この作業には、短くて数か月、資料が散らばっていれば1年ほどかかります。古い株主名簿や保険証券を探すところから始まる会社が多いためです。
ここを飛ばして株式の話から入ると、後で前提が崩れます。誰が株主か分からないまま贈与の話を進めても、話が前に進まないからです。
この段階を丁寧に済ませておくと、後の判断がぶれません。事業承継の準備で最も投資対効果が高いのが、この現状把握です。
節目2 承継の型を決め、家族と後継者の合意をつくる
棚卸しが終わったら、誰に引き継ぐかを決めます。ここで親族内承継を選ぶのであれば、その前提で設計を進めます。
親族内承継とは、子や親族を後継者として、経営と株式の両方を引き継ぐ形のことです。経営だけを渡して株式を残す、という中途半端な形は後で問題になります。
この節目でやることは3つです。後継者本人の意思確認、他の親族への説明、そして株式をどう渡すかの方針決めです。
意外に時間がかかるのが、後継者以外の家族への説明です。会社を継がない子にどう配慮するかは、感情の問題でもあります。
ここは数か月で決まることもあれば、1年以上かかることもあります。早く始めるほど、家族が納得するまで話し合う時間を取れます。
株式の渡し方(贈与・譲渡・相続)に伴う税額の計算や申告は税理士の領域です。私たちは全体設計を担い、税理士と連携して進めます。
節目3 後継者育成と権限移譲に3年以上かかることもある
4つの節目のうち、最も長い時間を必要とするのがここです。
権限移譲とは、決裁の範囲を段階的に後継者へ渡し、最後は経営判断そのものを任せる過程のことです。肩書だけを渡すことではありません。
育成で押さえるのは、次の3つの領域です。
- 現場 主要な部門を一通り経験し、社員の顔と仕事を知る
- 数字 試算表を読み、資金繰りを自分で説明できるようになる
- 外部 金融機関・主要取引先との面談に同席し、関係を引き継ぐ
この3つを積み上げると、3年以上かかることも珍しくありません。現場と数字だけなら短縮できても、外部との関係だけは年月を要します。
加えて、社内の納得も要ります。古参の役員や社員が後継者を認めるまでには、実績の積み重ねが欠かせません。
ここで慌てて権限を全部渡すと、後継者が孤立します。段階を踏むことが、結局は近道になります。
節目4 実行と、引継ぎ後の伴走
株式を渡し、代表を交代して終わり、ではありません。むしろ交代の直後こそ支えが要ります。
この段階でやることは、株式の移転、代表者の変更、金融機関への説明、個人保証の切り替え、そして法人保険の役割の再設計です。
登記の手続きは司法書士、許認可の届出は行政書士の領域です。契約や紛争に関わる法律判断は弁護士が担います。
交代してから経営が安定するまで、1年から2年ほどは見ておくと安心です。ここまで含めて、事業承継の準備は完了します。
4つの節目にかかる時間と、60歳からの逆算
4つの節目に必要な時間を並べると、次のようになります。あくまで目安であり、会社の状態で前後します。
| 節目 | 主にやること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 現状把握 | 株主・財務・個人保証・保険の棚卸し | 数か月〜1年 |
| 承継の型を決める | 後継者の意思確認・家族の合意・株式の方針 | 数か月〜1年 |
| 後継者育成と権限移譲 | 現場・数字・外部関係の引継ぎ | 3年以上かかることも |
| 実行と引継ぎ後の伴走 | 株式移転・代表交代・保証と保険の再設計 | 1〜2年 |
単純に足すと、5年から8年ほどになります。節目1と節目2は並行できる部分もありますが、節目3は短縮しにくい項目です。
ここから逆算します。仮に70歳前後での交代を思い描くなら、60代前半には着手しておくと余裕をもって進められます。
ただし年齢はあくまで目安です。後継者が既に社内で育っている会社もあれば、候補がまだ学生という会社もあります。
大事なのは年齢そのものではなく、「交代したい時期から逆算して、今どの節目にいるか」を知ることです。60歳という数字は、その物差しとして使ってください。
特例承継計画を検討するなら、期限の意味を取り違えない
事業承継税制の特例措置を検討する会社もあります。ここで期限の理解を誤ると、計画が無駄になります。
特例承継計画の提出期限は令和9年(2027年)9月30日です。省令改正で延長されました。
一方で、贈与・相続を実際に実行する期限は令和9年(2027年)12月31日で、延長されない見込みです。
つまり「提出期限が延びたから余裕がある」とは言えません。計画を出しても、実行が間に合わなければ特例は使えないからです。
また、この制度は税を免除するものではなく、納税を猶予する制度です。要件を満たさなくなれば猶予が打ち切られます。
使えるかどうかは会社ごとの要件次第で、断定はできません。適用の可否と税額の判断は税理士の領域であり、私たちは全体設計の中で連携を整えます。
最初の一歩をどこに置くか
今日から始めるなら、節目1の一部だけで構いません。株主名簿・借入一覧・保険証券の3点を一か所に集めてください。
それだけで、自社がどの節目にいるかが見えてきます。全体の設計まで一気に進めたい場合は、事業承継の準備を支えるコンサルティングという選択肢もあります。
まだ何も決まっていない段階でのご相談を歓迎します。売り込みは一切なく、その場で契約を求めることもありません。「うちは何年かかりそうか」を知るだけでも構いません。
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早めの事業承継の準備で手に入れる3つの未来

結論を先に述べます。早く着手した会社が手にするのは、株式の名義変更ではありません。「選べる状態」と「安心して任せられる関係」です。
ここでは3つの軸で、具体的に何が変わるのかをお伝えします。
選択肢が減らない状態のまま、決断できる
準備が進んでいる会社は、途中で方針を変えられます。後継者の気持ちが変わっても、別の道を検討する時間があるからです。
親族内承継を進めていた会社が、途中で役員承継へ切り替えることもあります。時間があれば、それは失敗ではなく選び直しです。
株式の分散も同じです。早い段階で分かれば、話し合いで少しずつ集約する道を選べます。
また、個人保証の扱いも交渉の余地が生まれます。財務を整える時間があれば、金融機関との話し方も変わってきます。
後継者が「継ぎたい」と言える環境ができる
後継者が承継をためらう理由の多くは、能力ではありません。見えないことへの不安です。
借入と保証の全体像、株式の状況、取引先との関係。これらが早い段階で共有されていれば、後継者は覚悟を決められます。
準備の過程は、そのまま親子で会社の中身を共有する時間になります。後継者が納得して引き受けた会社は、交代後の立ち上がりが違います。
社内の空気も変わります。誰が次を担うかが早く見えている会社では、社員が将来を描きやすくなります。
経営者自身の、次の人生を設計できる
見落とされがちなのが、経営者本人の暮らしです。交代した後、何を収入の柱にするのか。
役員退職慰労金の準備は、規程の整備と株主総会の決議が前提になります。これも時間の要る作業です。
法人保険についても、承継の時期に合わせて役割を見直す価値があります。ただし、削ることが目的ではありません。
過不足を洗い出すのは、守るための再設計です。削りすぎれば、万一のときに事業継続や家族の生活に影響が出ます。
なお、保険料の税制上の取扱いは2019年の法人税基本通達の改正後、解約返戻率に応じて変わります。個別の取扱いは税理士に確認しながら進めます。
会社の未来と、ご自身の人生。その両方が見える状態を、共に手に入れましょう。
自社だけで事業承継の準備を進める限界と、事業承継士による伴走支援

結論を先に述べます。自社だけで進めると、多くの会社が節目1と節目2の間で止まります。理由は能力ではなく、構造にあります。
自社だけで進めると起きる3つのつまずき
1つ目は、日常業務に押し流されることです。承継の準備には期限がありません。だから急ぎの仕事が常に優先されます。
気づけば半年が過ぎている。これは意志の弱さではなく、締切のない仕事の宿命です。
2つ目は、専門家がそれぞれの持ち場しか見ないことです。税理士は税務を、司法書士は登記を、保険担当者は契約を見ます。
どの専門家も自分の領域では正しい助言をします。ところが全体をつなぐ人がいないと、話が噛み合わないまま時間だけが過ぎます。
3つ目は、家族の話になると進まないことです。後継者への期待も、他の子への配慮も、当事者だけでは切り出しにくいものです。
第三者が同席するだけで、話せることが増えます。これは実務でくり返し起きることです。
誰が何を担うのかを整理する
役割を分けて見ると、全体像がつかみやすくなります。
| 担い手 | 主な役割 |
|---|---|
| 税理士 | 個別の税務判断・株式移転に伴う税額計算・申告 |
| 司法書士 | 役員変更や株式に関わる登記 |
| 行政書士 | 許認可の承継手続き・届出 |
| 弁護士 | 契約・法律判断・親族間の紛争対応 |
| 中小企業診断士・事業承継士 | 現状把握・ロードマップ設計・後継者育成の伴走 |
それぞれの専門家は欠かせません。足りないのは、全体の設計図と進行役です。
KICKが担う「全体設計と伴走」
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として、承継の全体設計と伴走を担います。認定経営革新等支援機関でもあります。
私たちがすることは、大きく3つです。
- 現状把握で、株主・財務・個人保証・保険を一枚に整理する
- 4つの節目を時間軸に並べ、ロードマップとして見える形にする
- 後継者育成の設計と、税理士など各専門家との連携を進める
加えて、事業承継専属の保険代理店として、法人保険の役割の再設計にも関わります。商品ありきではなく、承継計画との整合を先に置きます。
個別の税務判断や税務代理は行いません。そこは税理士の領域として、連携で進めます。
初回のご相談で、よくお伝えすること
・自社が4つの節目のどこにいるか
・交代したい時期から逆算した、おおよその年数
・今月から着手できる、最初の3つの資料集め
その場で契約を求めることはありません。売り込みも、しつこい連絡もありません。話を聞いたうえでお断りいただいて構いません。「準備が必要かどうか」の見極めだけでも、お役に立てます。
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事業承継の準備に関するよくある質問|いつから・何年かかるか

Q. 事業承継の準備はいつから始めればよいですか
A. 交代したい時期から逆算して、5年から8年ほど前が目安です。準備は現状把握・型の決定・後継者育成・実行の4段階を踏むためです。
後継者が既に社内で育っていれば、もっと短くて済むこともあります。まずは自社がどの節目にいるかを確かめてください。
最初の一歩は、株主名簿・借入一覧・保険証券を集めることです。
Q. 60歳を過ぎてから始めるのでは遅いですか
A. 遅くはありません。60代前半での着手は、むしろ多くの会社にとって自然な時期です。
この年代は、判断力も体力も十分にあり、金融機関や取引先との関係も現役です。だから交渉と引継ぎの両方を主導できます。
60代後半や70代からの着手でも進められます。ただし、後継者育成に充てられる年数は短くなるため、優先順位の付け方が変わります。
Q. 事業承継の準備には何年かかりますか
A. 全体でおおむね5年から8年が目安です。内訳は、現状把握に数か月から1年、承継の型を決めるのに数か月から1年です。さらに後継者育成に3年以上、実行と交代後の伴走に1年から2年を見ます。
会社の状態で前後します。株式が分散している場合や、後継者がまだ社外にいる場合は長くなります。
逆に、資料が整っていて後継者が既に幹部であれば、3年ほどで形になることもあります。
Q. 後継者育成には何年必要ですか
A. 3年以上かかることも珍しくありません。現場・数字・外部との関係という3つを積み上げる必要があるためです。
このうち現場と数字は、計画的に配置すれば短縮できます。短縮しにくいのは、金融機関や主要取引先との関係づくりです。
面談への同席をくり返し、相手が後継者を「次の代表」として見るまでには年月がかかります。まずは同席の機会を作ることから始めてください。
Q. 事業の棚卸しでは何を調べるのですか
A. 承継の準備で行う事業の棚卸しでは、株主・財務・個人保証・保険の4点を中心に調べます。会社の現在地を事実で確かめる作業です。
株主では名簿と実態の一致を、財務では実態の利益と役員貸付金などを確認します。個人保証はどの借入に誰の保証が付いているかを一覧にします。
保険は契約目的・保険金額・受取人が今の会社と合っているかを見ます。ここが整うと、その後の判断がぶれなくなります。
Q. 後継者がまだ決まっていなくても準備できますか
A. できます。むしろ、決まっていない段階でこそ現状把握に取りかかる価値があります。
株式・財務・保証の全体像が見えていないと、後継者候補も判断できないからです。情報がそろって初めて、相手は真剣に考え始めます。
候補が複数いる場合も同じです。まず会社の姿を一枚にまとめ、そのうえで話し合いに入ってください。
Q. 特例承継計画は提出期限が延びたので、まだ余裕がありますか
A. 余裕があるとは言えません。たしかに特例承継計画の提出期限は令和9年(2027年)9月30日に延長されました。しかし贈与・相続を実行する期限は令和9年(2027年)12月31日で、延長されない見込みです。
計画を出しても、期限内に実行できなければ特例は使えません。また、この制度は税の免除ではなく納税の猶予であり、要件を満たさなくなれば猶予が打ち切られます。
使えるかどうかは会社ごとの要件次第です。適用の可否と税額は税理士に確認しながら、早めに実行の段取りを組んでください。
Q. 個人保証は後継者が引き継ぐことになりますか
A. 自動的に引き継がれるものではなく、金融機関との交渉で決まります。財務の状態や法人と個人の資産の切り分けが判断材料になります。
準備の段階で財務を整え、法人と個人の線引きを明確にしておくと、話し合いの余地が広がります。逆に、直前になってからでは打てる手が限られます。
まずはどの借入に誰の保証と担保が付いているかを一覧にしてください。そこが交渉の出発点になります。
Q. 準備を始めたことを社内にいつ伝えればよいですか
A. 全社への公表は、承継の型と後継者が固まってからで構いません。ただし、幹部数名には早めに共有しておくと進みが違います。
資料集めや現場の引継ぎには、経理や総務の協力が要るためです。伏せたまま進めると、かえって憶測を呼びます。
公表の順序は、幹部、主要取引先と金融機関、全社員という流れが一般的です。時期と順番は計画に組み込んでおいてください。
Q. 事業承継の準備は誰に相談すればよいですか
A. 相談先は内容で分かれます。税額の計算や申告は税理士、登記は司法書士、許認可は行政書士、法律判断は弁護士です。
一方で、全体の設計とロードマップづくり、後継者育成の伴走には、承継全体を見る立場が要ります。中小企業診断士・事業承継士はその役割を担います。
顧問税理士に話しつつ、全体設計の相談先を別に持つ形が進めやすい方法です。まずは自社の現在地を確かめるところからお声がけください。
まとめ

事業承継の準備は、4つの節目を順に踏む作業です。現状把握、承継の型の決定、後継者育成と権限移譲、実行と引継ぎ後の伴走。
現状把握に数か月から1年、後継者育成には3年以上かかることもあります。足し合わせると、5年から8年ほどの時間が要ります。
だから逆算すると、60代前半には着手しておくと余裕をもって進められます。ただし年齢は目安であり、会社の状態で変わります。
「まだ早い」と感じている今が、いちばん選択肢の多い時期です。今日できるのは、株主名簿と借入一覧と保険証券を集めることだけで構いません。
親族内承継を軸に考えている方も、他の型と比べたい方も、進める順序は同じです。まず現在地を知るところから始めてください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。「何年かかりそうか」を知るだけの30分でも歓迎します。
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