
顧問先の建設業の直近決算が赤字になった。特定技能の外国人材を受け入れているが、この決算で受入れの審査が通るのか不安——。そんな相談を、決算期の前後に受けたことはないでしょうか。
型枠工事や鉄筋施工、足場架設(とび)などの建設業では、資材高や人手不足で利益が圧迫されやすく、単年度の赤字や債務超過は決して珍しくありません。そこへ外国人材の受入れが重なると、財務内容を客観的に説明する「企業評価書」が必要になる場面が出てきます。
あなたはこのような悩みはありませんか?
- 建設業の顧問先が赤字決算で、受入れ審査が不安な方
- 企業評価書が必要だが、自所では作成できない方
- 作成を頼める専門家の当てがなく困っている方
これは先生おひとりの問題ではありません。税務の専門家である税理士でも、企業評価書そのものは作成できないからです。制度上、作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。
ここで戦う相手は、顧問先でも先生でもありません。「赤字決算・債務超過という状況」と「審査の不安」「頼れる専門家がいないこと」です。この状況に、税理士とKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)が役割を分けて備えれば、受任機会を逃さずに済みます。
結論を先にお伝えします。決算対応は貴所が担い、企業評価書の作成は中小企業診断士のKICKが担う。この役割分担を決算前に整えておくことが、赤字決算の建設業を守る最短の道です。詳しい進め方は本文で順に解説します。
この記事で分かること
- 赤字決算の建設業で企業評価書が必要になる理由と、見落としやすい場面
- 決算対応が遅れたときに起きる、審査の停滞と顧問先離れ
- 企業評価書を作成できるのは中小企業診断士などに限られること
- 決算の前後でそろえておく、改善見通しの備え
- 自所だけで抱える限界と、中小企業診断士との連携という選択肢
執筆は、KICK代表で中小企業診断士・1級FP技能士の松本昌史が担当します。KICKは認定経営革新等支援機関として、法人支援150社以上の実績があり、全国オンラインで対応しています。まずは、赤字決算の建設業でどんな備えが要るのかを一緒に確認しましょう。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
赤字決算の建設業で企業評価書が必要になる理由

最初の注意点は、赤字決算の建設業では企業評価書が必要になる場面を見落としやすいことです。まずここを押さえておかないと、決算後に慌てることになります。
なぜ見落としやすいのか。理由は、企業評価書が「税務の書類」ではなく「在留資格まわりの書類」だからです。税理士の日常業務の外にあるため、顧問先から相談されて初めて気づく、というケースが起きやすいのです。
企業評価書が求められる場面
企業評価書は、正式には「改善見通しに関する評価書面」と呼ばれます。外国人技能実習機構(OTIT)へ提出する書類の別紙②-1・番号20にあたります。
申請する企業が債務超過のときに、この評価書が求められます。建設業で特定技能や技能実習の外国人材を受け入れる際、直近決算が赤字続きで純資産がマイナスになっていると、財務の健全性に疑問符が付きます。そこで、第三者が改善の見通しを客観的に示す書面が要るわけです。
建設業は、この場面に当たりやすい業種です。理由を並べます。
- 資材価格の高騰で、材料費が利益を圧迫しやすい
- 工事の完成・引渡しの時期で、単年度の損益が大きく振れる
- 元請けからの入金と外注費の支払いのズレで、資金繰りが読みにくい
- 人手不足を外国人材で補うニーズが、もともと大きい
たとえば、鉄筋施工会社が大型現場の完成が翌期にずれ込み、当期は先行費用だけがかさんで赤字になる。あるいは足場架設(とび)工事会社が、鋼材価格の上昇で利益が薄くなり債務超過に近づく。こうした形は、建設業では日常的に起こります。
ここで見落としが起こりやすいのは、赤字の「見え方」が業種で違うからです。製造業なら在庫や設備投資で説明が付きやすい一方、建設業は工事ごとに採算が動くため、決算書の数字だけでは実力が伝わりにくいのです。だからこそ、企業評価書という第三者の書面で改善見通しを補う必要が高まります。
特定技能の受入れを進める建設業では、この構造がそのまま審査の壁になります。数字が読みにくい業種だからこそ、客観的な企業評価書の価値が上がる、と考えておくとよいでしょう。
見落としやすいのは「作成資格の壁」
もう一つの見落としが、作成資格の問題です。企業評価書は、誰でも作れるわけではありません。制度上、作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。
税務の顧問である貴所は、決算書も試算表も熟知しています。それでも、企業評価書そのものは作成できません。ここを知らずに「顧問税理士に頼めばいい」と顧問先が思い込んでいると、決算後に手続きが止まってしまいます。
| 役割 | 担い手 | できること |
|---|---|---|
| 決算・税務・試算表 | 貴所(税理士) | 正確な財務数値の整理と申告 |
| 在留資格の申請 | 顧問先・行政書士など | 特定技能・技能実習の受入れ手続き |
| 企業評価書の作成 | 中小企業診断士など | 改善見通しに関する評価書面の作成 |
要するに、赤字決算の建設業では「企業評価書が要る場面」と「税理士では作れないという壁」の二つを、決算の前に先回りして把握しておくことが第一の注意点です。
決算対応が遅れると起きること

二つ目の注意点は、決算対応が遅れると受入れ審査そのものが止まってしまうことです。結論として、時間の遅れは顧問先の不利益に直結します。
理由は単純です。特定技能や技能実習の受入れには、申請の期限や受入れ開始の予定があります。決算が確定し、企業評価書がそろって初めて審査が前に進むため、どこか一つが遅れると全体が止まるのです。
審査の停滞という現実
債務超過の状態で申請しようとすると、企業評価書がなければ書類が整いません。決算の確定が遅れ、そこから作成者を探し始めると、受入れの予定に間に合わない恐れが出てきます。
建設業は、工事の繁忙期に合わせて人手が要ります。内装仕上げ工事会社が春の引渡しラッシュに向けて増員したいのに、審査が止まって外国人材が入れない。これは、顧問先の売上機会そのものを損なう事態です。
しかも、決算後に作成者を探し始めると、財務内容の把握からやり直しになります。中小企業診断士が決算書を読み込み、建設業の事業構造を踏まえて改善見通しをまとめるには、それなりの時間が要ります。決算確定を待ってから動くのと、決算前から連携先を決めておくのとでは、審査に間に合うかどうかが大きく変わります。
顧問先離れという静かなリスク
もう一つ、静かに進むリスクがあります。顧問先の信頼が少しずつ離れていくことです。
顧問先は、困ったときにまず貴所に相談します。そこで「企業評価書はうちでは作れません」で話が終わってしまうと、顧問先は自分で作成者を探し始めます。別の専門家とつながった顧問先は、財務の相談窓口も少しずつそちらへ移りがちです。
逆に言えば、貴所が「作成できる中小企業診断士と連携しています」と即答できれば、顧問先はその場で安心します。左官・塗装工事会社の社長が「先生に相談してよかった」と感じる瞬間です。この一言の差が、継続受任を左右します。
要するに、決算対応の遅れは「審査の停滞」と「顧問先離れ」を同時に招きます。だからこそ、決算を迎える前に連携の体制を決めておくことが二つ目の注意点です。
企業評価書を作成できるのは中小企業診断士など

三つ目の注意点は、企業評価書の作成者を正しく理解しておくことです。結論から言えば、作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。
理由は制度にあります。企業評価書(改善見通しに関する評価書面)は、財務の改善見通しを専門的に評価する書面です。そのため、評価の担い手が資格で定められているのです。税理士や行政書士は、この書面を作成できません。
役割分担を決算前に固める
ここで大切なのは、対立ではなく分担です。貴所とKICKは、それぞれの専門で顧問先を支えます。
- 決算・試算表・申告といった税務は、これまで通り貴所が担う
- 在留資格の申請は、顧問先や連携する行政書士などが進める
- 企業評価書の作成と財務の改善見通しは、中小企業診断士のKICKが担う
この分担を決算を迎える前に決めておくと、赤字決算が判明した瞬間に動き出せます。建設業のように損益が振れやすい業種では、この「先回り」が特に効きます。
KICKの財務分析の進め方
KICKでは、企業評価書の作成を次の流れで進めます。実務レベルでイメージできるよう並べます。
- 貴所が整えた決算書・試算表をもとに、財務の現状を分析する
- 赤字・債務超過に至った要因を、建設業の事業構造から読み解く
- 資材費・外注費・工事進行の見通しから、改善の道筋を組み立てる
- 改善見通しに関する評価書面(企業評価書)として、客観的にまとめる
型枠工事会社であれば、鋼材や合板の仕入れ計画、受注済み工事の採算、外注比率の見直しなどを織り込み、単年度の赤字が一過性であることを財務面から説明します。決算数値を最もよく知る貴所と、評価を担うKICKが手を組むことで、説得力のある書面になります。
この流れの利点は、貴所の手を大きく煩わせない点にあります。貴所からは、いつもの決算書と試算表をご提供いただくのが中心です。建設業の事業構造の読み解きや改善見通しの組み立ては、中小企業診断士のKICKが担います。役割がはっきり分かれているため、繁忙期でも無理なく回せます。
作成の詳しい流れや対応範囲は、企業評価書作成支援の詳細で確認できます。特定技能の受入れを進める建設業の顧問先を、決算対応と評価書の両輪で支えられます。
売り込みは一切ありません。顧問先を奪うことはしません。決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。まずは連携の可否だけでもご確認ください。
要するに、企業評価書は税理士では作れず、中小企業診断士などが担う。この事実を前提に役割分担を決算前に固めておくことが、三つ目の注意点です。
決算の前後でそろえる改善見通しの備え

四つ目の注意点は、決算の前後で改善見通しの材料をそろえておくことです。結論として、材料が早くそろうほど、企業評価書は速く正確に仕上がります。
理由は、企業評価書が「これから良くなる根拠」を示す書面だからです。過去の赤字だけを見るのではなく、将来の改善を数字で描きます。そのための材料は、日々の税務のなかにすでに眠っています。
決算前にそろえておく材料
決算を締める前から、次の材料を意識して整えておくと動きが速くなります。
- 受注残・工事の進行状況が分かる資料(完成予定と入金予定)
- 資材費・外注費の推移と、価格高騰の影響が分かる数字
- 金融機関との取引状況や返済計画
- 赤字の原因が一過性か構造的かを切り分けるメモ
建設業では、工事の完成時期が翌期にずれるだけで損益が大きく動きます。鉄筋施工会社の大型案件が期をまたぐ場合、その受注残を早めに整理しておけば、「当期の赤字は一時的」という改善見通しを説得力をもって描けます。
業種の事情を織り込む
建設業ならではの事情を書面に織り込むことも重要です。同じ赤字でも、背景が違えば改善見通しの描き方が変わるからです。
| 会社の例 | 赤字になりやすい背景 | 改善見通しの着眼点 |
|---|---|---|
| 型枠工事会社 | 合板・鋼材の高騰、型枠の再利用回数 | 資材調達の見直し、受注単価の改定 |
| 足場架設(とび)工事会社 | 鋼材コスト、稼働率の変動 | 稼働の平準化、機材の回転効率 |
| 内装仕上げ工事会社 | 繁忙期集中、職人の外注比率 | 工程の平準化、外国人材による内製化 |
| 左官・塗装工事会社 | 天候による工程遅延、単価競争 | 付加価値工事へのシフト、原価管理 |
特定技能の外国人材を受け入れることで、外注費を内製に切り替え、原価を抑えられる場合もあります。受入れそのものが改善見通しの一部になる——この視点は、建設業の企業評価書で強い説得材料になります。
大切なのは、これらの材料が決算後に急に生まれるものではないことです。受注残の管理も、資材費の推移も、日々の税務のなかで貴所がすでに触れている情報です。決算前から「企業評価書に使う材料」という意識で整理しておくだけで、赤字が判明した瞬間に改善見通しの土台ができあがります。
要するに、決算の前後で改善見通しの材料を先回りしてそろえておく。これが四つ目の注意点であり、貴所の日常業務と最も相性のよい備えです。
自所だけで抱える限界と中小企業診断士との連携

五つ目の注意点は、企業評価書を自所だけで抱え込まないことです。結論として、専門外の領域は連携で補うほうが、先生にも顧問先にも得です。
理由は二つあります。専門外リスクと、時間コストです。
自所だけで抱える限界
企業評価書は税理士では作成できません。無理に近い書類を独自に用意しても、制度が求める要件を満たさなければ意味がありません。ここに、専門外の領域を抱える難しさがあります。
また、赤字決算の建設業を支えるには、決算対応そのものに時間がかかります。そこへ在留資格まわりの調べものまで加われば、繁忙期の事務所は回りません。時間コストは、見えにくいけれど確実な負担です。
だから連携する事務所が増えている
だからこそ、中小企業診断士と連携する税理士事務所が増えています。財務の改善見通しと企業評価書の実務をKICKが主導するため、貴所の負担と専門外リスクが小さくなるからです。
連携で、先生が手にできる未来は三つあります。
- 面談の質:赤字決算の顧問先にも「作れる専門家と組んでいる」と即答でき、相談の場が前向きになる
- 時間と受任の安定:企業評価書の実務をKICKが担うので、貴所は税務に集中でき、受任機会を逃さない
- 顧問先・周囲からの信頼:「困ったときに頼れる先生」として評価され、継続受任と紹介につながる
KICKは認定経営革新等支援機関として法人支援150社以上の実績があり、全国オンラインで対応します。来社は不要です。料金の詳細はサービスページでご確認いただけますが、まずは連携できるかどうかの確認から始められます。
連携の全体像や進め方は、士業連携(提携)の詳細にまとめています。あわせて、企業評価書作成支援の詳細もご覧ください。
要するに、専門外は連携で補う。それが、赤字決算の建設業を守りながら、先生の事務所の付加価値を高める最善の道です。この安心を、共に手に入れましょう。
よくある質問

Q. 連携すると顧問先を奪われませんか
A. 奪いません。KICKが担うのは企業評価書の作成と財務の改善見通しに限られます。決算・税務の顧問はこれまで通り貴所が続けます。顧問先との関係はそのまま維持されます。
Q. 自所の作業負担はどの程度ですか
A. 大きくありません。貴所には、いつも通りの決算書・試算表をご提供いただくのが中心です。財務分析と企業評価書の作成という専門実務は、中小企業診断士のKICKが主導します。
Q. 企業評価書は誰が作れるのですか
A. 作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。税理士や行政書士は作成できません。だからこそ、作成できる専門家との連携が受任の要になります。
Q. 建設業の顧問先が債務超過でも受入れは可能ですか
A. 債務超過だからと直ちに不可能になるわけではありません。改善見通しに関する評価書面(企業評価書)で、将来の改善を客観的に示せれば、審査の前進につながります。
Q. 企業評価書はどんなときに求められますか
A. 特定技能や技能実習の受入れで、申請企業が債務超過のときに求められます。外国人技能実習機構(OTIT)提出書類の別紙②-1・番号20にあたる書面です。
Q. 赤字決算が一時的な場合はどう扱われますか
A. 一過性の赤字か、構造的な赤字かを切り分けて評価します。建設業では工事の完成時期のズレで単年度赤字が出やすく、受注残や改善計画を織り込んで見通しを描きます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 案件により異なるため、具体額はサービスページにてご確認ください。まずは連携の可否と進め方のご相談から承ります。売り込みは一切ありません。
Q. 全国どこからでも相談できますか
A. できます。KICKは全国オンラインで対応しており、来社は不要です。地方の建設業の顧問先を持つ先生からのご相談も承っています。
Q. 決算のどのタイミングで相談すればよいですか
A. 決算を締める前が理想です。赤字や債務超過の兆しが見えた段階でご相談いただければ、受注残や改善計画の材料を早めに整え、企業評価書の作成を速やかに進められます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先を奪うこともしません。決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担で、赤字決算の建設業を一緒に支えます。
まとめ

赤字決算の建設業を守る鍵は、決算を迎える前の備えにあります。今回の5つの注意点を、別の角度で振り返ります。
企業評価書が必要になる場面は見落としやすく、しかも税理士では作成できません。決算対応が遅れれば審査は止まり、顧問先の信頼も静かに離れていきます。作成できるのは中小企業診断士などに限られるからこそ、役割分担を決算前に固めることが要になります。改善見通しの材料は日々の税務のなかにあり、専門外の領域は連携で補うのが最善です。
型枠工事・鉄筋施工・足場架設(とび)・内装仕上げ・左官塗装——どの建設業でも、赤字や債務超過は起こり得ます。そのとき、決算・税務は貴所が、企業評価書の作成は中小企業診断士のKICKが担う。この分担が整っていれば、特定技能の外国人材を受け入れる顧問先を、審査の入口で止めずに済みます。
先生おひとりで、専門外のリスクと時間を抱え込む必要はありません。作れる専門家と組むという一手で、顧問先の安心と事務所の付加価値を同時に守れます。この体制を、決算前の今から一緒に整えていきましょう。







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