
「餌代がまた上がった。決算を締めたら、まさかの債務超過だった」。漁業・養殖業を営む経営者から、こうした相談が増えています。輸入魚粉の価格高騰、燃料費の上昇、そして深刻な人手不足。三重苦の中で、特定技能や技能実習(育成就労)による外国人材の受入れを検討したものの、「決算書が債務超過だから審査が通らないのでは」と不安を抱えている方は、決してあなただけではありません。
実は、債務超過があっても外国人材の受入れをあきらめる必要はありません。原因が明確で、改善の見通しに客観的な根拠があれば、審査を通過している漁業・養殖業者は現に存在します。その鍵を握るのが、中小企業診断士が作成する「企業評価書(改善見通しに関する評価書面)」です。ただし、その中身と整え方を知らないまま自己流で提出し、補正指示や不許可を招いてしまうケースも少なくありません。
「専門的な書類を、自分たちだけで正しく用意できるのか」「誰に相談すればいいのか分からない」。初めて企業評価書を必要とする経営者ほど、こうした不安を抱えがちです。難しい制度を自力で読み解こうとするより、専門家に任せて安心を得たいと考えるのは、決して甘えではありません。
この記事では、餌代・燃料費の高騰で赤字や債務超過に陥った漁業・養殖業が、特定技能の受入れ審査を通過するために揃えるべき4つの条件を、実務目線で解説します。
この記事で分かること
- 漁業・養殖業で債務超過が急増している構造的な理由
- 特定技能の受入れ審査を通過するために揃えるべき4つの条件
- 企業評価書を自社だけで用意した場合のリスク
- 中小企業診断士に依頼する場合の進め方
- 初めて企業評価書を依頼する経営者が抱きやすい疑問への回答
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。まずは決算書の状況だけでも、お聞かせください。
餌代高騰と燃料費増で、漁業・養殖業の債務超過が急増している理由

漁業・養殖業の経営がここ数年で急速に悪化しています。帝国データバンクの調査によれば、水産養殖業者の倒産・休廃業・解散は2025年1〜8月の時点ですでに27件に達し、過去最多だった前年通年の19件をすでに上回るペースで推移しています。同社の別調査では、養殖業者の「業績悪化(減益と赤字の合計)」の割合は2024年度に63.6%に達し、前年度の49.6%から14ポイントも上昇しました。
背景にあるのは、次の複合的なコスト増です。
| コスト要因 | 経営への影響 |
|---|---|
| 配合飼料・輸入魚粉の価格高騰 | 魚種によっては餌料費が養殖コストの7〜8割を占め、原価率が直撃を受ける |
| 燃料費(軽油・重油)の高止まり | 出漁コスト・陸上養殖の電気料金が増加し、粗利を圧迫する |
| 漁船員・養殖作業員の人手不足 | 有効求人倍率は漁船員2.52倍、水産養殖作業員2.08倍と深刻な水準 |
| 海水温・気候変動による生産性低下 | 稚魚の死滅率上昇など、収量そのものが不安定になる |
これらが同時に押し寄せることで、「一時的な業績悪化」ではなく「構造的な原価上昇」として決算に表れ、気づけば債務超過に陥っている、というのが多くの漁業・養殖業者に共通する経緯です。ここで問題なのは、コストが上がっているにもかかわらず、漁協や取引先への価格転嫁が思うように進まない点にあります。魚価は市況に左右されやすく、原価上昇分をそのまま販売価格に乗せることが難しい構造があるためです。
この状態を放置すると、次のような悪化シナリオが現実味を帯びてきます。まず、人手不足を補うために検討していた特定技能の受入れが、債務超過を理由に停滞します。すると現場の労働力不足がさらに深刻化し、出漁日数や作業効率が落ちて売上が減少します。売上減少はさらなる赤字を招き、翌期の決算はより深い債務超過に沈む。この悪循環に入る前に、原因を数字で説明し、改善の道筋を示すことが欠かせません。
特に漁業・養殖業は、農業や製造業と比べても収益の変動要因が多い業種です。海水温や台風といった気候要因は経営者にはコントロールできませんが、審査機関に対しては「コントロールできない外部要因」と「経営努力で改善できる内部要因」を切り分けて説明することが求められます。この切り分けができているかどうかが、審査における評価を大きく左右します。感覚的に「仕方がなかった」で終わらせず、餌料費の変動幅や燃料単価の推移といった一次情報に基づいて説明できるかどうかが問われます。
漁業・養殖業が特定技能を受入れるために揃えるべき4つの条件

債務超過があっても、特定技能や技能実習(育成就労)の受入れ審査を通過している漁業・養殖業者は実際に存在します。その分かれ目は、次の4つの条件を満たしているかどうかです。
条件1 債務超過の原因が一時的か構造的かを、数字で切り分けていること
審査機関がまず確認するのは、「なぜ債務超過になったのか」です。餌料費や燃料費の高騰といった外部要因による一過性のコスト増なのか、それとも売上そのものが右肩下がりの構造的な問題なのかを、決算数値をもとに分解して説明する必要があります。原因の切り分けが曖昧なまま「頑張ります」という精神論だけを書いた資料は、審査官の心証を悪くしかねません。
条件2 3〜5年の改善計画に、数値的な裏付けがあること
「来期から黒字化します」という宣言だけでは足りません。餌料費の見直し、加工品化による販売単価の引き上げ、既存借入の返済計画といった具体策を、売上・原価・利益の数値予測とともに示す必要があります。中小企業庁の「中小企業白書」など公的な統計データを踏まえた市場環境分析を添えることで、計画の説得力は大きく高まります。
改善計画で特に重視されるのは、施策と数値の対応関係です。例えば「加工品化を進める」という施策であれば、想定する販売単価の上昇幅、必要な設備投資額、投資回収にかかる期間までを一体で示す必要があります。施策と数値がひも付いていない計画は、「絵に描いた餅」として評価されやすく、審査を通過する計画とはみなされません。
条件3 資金繰りと賃金支払能力が継続できることを証明すること
特定技能や技能実習の外国人材は、日本人従業員と同等以上の賃金を継続的に支払う対象です。審査機関が重視するのは、帳簿上の債務超過そのものよりも「この先も給与を払い続けられるか」という資金繰りの実態です。役員借入金がある場合、返済が事実上猶予されていれば「実質的な資産超過」として説明できるケースもあります。キャッシュフロー計画を具体的に示すことが、この条件を満たす近道になります。
漁業・養殖業は水揚げや出荷のタイミングによって月ごとの入金が大きく変動する業種です。年間を通じた資金繰り表を作成し、繁忙期と閑散期の資金の谷をどう乗り越えるかまで示せると、審査機関に対する説明はより具体的になります。単年の損益計画だけでなく、月次のキャッシュフローまで踏み込んで整理することが、資金繰りの継続性を裏付ける材料になります。
条件4 中小企業診断士が作成した企業評価書を用意すること
ここまでの3条件を、経営者自身の言葉だけで説明しても、客観性の面で弱いと判断されがちです。そこで必要になるのが、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者、すなわち中小企業診断士による第三者評価です。自社の財務内容を熟知した専門家が、原因分析・改善計画・資金繰りの3点を客観的に評価した書面があることで、審査機関に対する説得力が格段に変わります。
詳しい進め方や必要書類については、漁業・養殖業向け企業評価書作成支援のページでも解説しています。
要するに、感覚的な「大丈夫なはず」ではなく、原因・計画・資金繰り・第三者評価の4点を揃えることが、審査を通過する漁業・養殖業者に共通する条件です。
お断りいただいても構いません。費用は一切かかりません。決算内容を拝見したうえで、受入れの見込みについて率直にお伝えします。
企業評価書を整えた漁業・養殖業が手に入れる未来

4つの条件を整えた漁業・養殖業者が手に入れるものは、単なる「審査通過」だけではありません。次の3つの軸で、経営そのものが変わっていきます。
数字の軸 原価構造が見える化され、価格転嫁の交渉材料になる
企業評価書の作成過程では、餌料費・燃料費・人件費といったコストを項目ごとに分解して分析します。この過程で得られる原価構造の見える化は、審査書類にとどまらず、漁協や取引先との価格交渉における客観的な根拠にもなります。「なんとなく苦しい」という感覚を、「どの費目が何割上昇し、利益をどれだけ圧迫しているか」という数字に変換できることは、経営判断のスピードそのものを引き上げます。
時間の軸 人手不足による出漁機会・出荷ロスが減る
特定技能の受入れが実現すれば、漁船員・養殖作業員の慢性的な人手不足が緩和され、出漁日数や収穫・出荷のタイミングを逃すロスが減っていきます。水産庁の資料によれば、漁業分野の特定技能は令和6年6月時点で受入れ実績3,035人、向こう5年間で最大9,000人までの受入れ見込みが設定されており、他分野と比べてまだ枠に余裕があります。人手不足が深刻な有効求人倍率の水準を踏まえると、この枠を活用できるかどうかは、今後数年の事業継続力を左右するといっても過言ではありません。
関係性の軸 金融機関からの信頼が回復する
第三者による客観的な改善見通しが整っていることは、外国人材の受入れ審査だけでなく、金融機関との関係にも良い影響を与えます。「なぜ債務超過になり、どう改善するのか」を数字で説明できる経営者は、金融機関からの信頼を得やすくなります。決算書だけを見せる関係から、改善計画を共有し合う関係へ。餌料費高騰という逆風の中でも、次の一手を数字で語れる経営体質を、共に手に入れましょう。
自社だけで評価書を用意する限界と、中小企業診断士による伴走支援

「決算書と改善計画くらい、自分たちで書けるのでは」と考える経営者も少なくありません。しかし、企業評価書には専門性の壁があります。
第一に、企業評価書は経営者本人が作成しても、第三者評価としての客観性を持ちません。制度上、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者による評価であることが前提です。第二に、原因分析や改善計画には、財務分析や事業計画策定の専門知識が求められます。自己流で作成した資料が、根拠不足を理由に補正指示を受け、受入れ時期が数か月単位で遅れてしまうケースも実際に起きています。第三に、経営者自身が本業のかたわらでこの作業に時間を割くこと自体が、大きな時間コストになります。
だからこそ、財務分析と事業計画の策定を専門とする中小企業診断士に任せる経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として、法人支援実績150社以上の経験をもとに、漁業・養殖業を含む幅広い業種で企業評価書の作成を支援しています。決算書の分析から、原因の切り分け、3〜5年の改善計画の策定、資金繰り計画の立案まで、審査機関に提出する評価書として必要な要素を一気通貫で整えます。
特に漁業・養殖業のように、餌料費・燃料費といった変動費の比率が高い業種では、一般的な経営改善計画のひな形をそのまま当てはめても説得力を持ちません。海水温や漁獲量の変動といった業界特有の事情を踏まえたうえで、内部要因と外部要因を切り分け、金融機関や審査機関の目線に立って計画を組み立てる。それが、経営者が経営に専念しながら、審査に耐えうる企業評価書を用意する現実的な方法です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。まずは現状の決算内容をお聞かせください。
よくある質問

Q. 企業評価書とは、そもそもどのような書類ですか?
A. 正式には「改善の見通しについての評価書面」といい、直近の決算が債務超過などの状態にある企業が、外国人技能実習(育成就労)や特定技能の受入れを申請する際に、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者が作成する書面です。債務超過の原因分析と、今後の改善見通しを客観的に示すことが目的です。
Q. 企業評価書は誰に依頼すればいいですか?
A. 企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者、代表的には中小企業診断士に依頼するのが一般的です。決算書の分析だけでなく、事業計画の策定や資金繰り計画の立案までを専門とする点が、この評価書に求められる内容と合致しています。
Q. 顧問税理士に相談したところ、対応が難しいと言われました。なぜですか?
A. 税理士の主業務は税務申告書の作成であり、将来の経営改善見通しを客観的に評価することは、法律上の業務範囲や専門領域の対象外とされることがあります。企業評価書で求められるのは、財務分析をもとにした将来予測や事業計画の妥当性評価であり、これは中小企業診断士が専門とする領域です。
Q. 漁業・養殖業でも特定技能の受入れは可能ですか?
A. 可能です。漁業は特定技能の対象分野に含まれており、水産庁の資料によれば向こう5年間で最大9,000人の受入れ見込みが設定されています。令和6年6月時点の受入れ実績は3,035人であり、他分野と比べてまだ受入れ枠に余裕がある状況です。
Q. 債務超過があると、必ず不許可になりますか?
A. 必ずしもそうではありません。債務超過の原因が明確で、改善の見通しに数値的な根拠があり、資金繰りと賃金支払能力が継続できると客観的に示せれば、審査を通過している漁業・養殖業者は現に存在します。重要なのは債務超過の有無そのものより、その先の見通しを説明できるかどうかです。
Q. 役員借入金がある場合、企業評価書ではどう扱われますか?
A. 経営者本人からの借入金(役員借入金)が帳簿上の負債に計上されているケースは、水産関連の中小企業でも珍しくありません。実質的に返済が猶予されている状態であれば、「実質的な資産超過」に近い状態として評価できる場合があります。この点も企業評価書の中で整理して説明することが可能です。
Q. 技能実習(育成就労)と特定技能で、企業評価書の扱いに違いはありますか?
A. どちらの制度でも、直近決算が債務超過などの状態にある場合には、改善の見通しについての評価書面の提出が求められる点は共通しています。育成就労制度は2027年4月の施行が予定されており、制度移行期にあたる今のうちから財務体質を整えておくことが、今後の受入れ計画を左右します。
Q. 一度、受入れ審査で補正指示を受けた場合、再申請はできますか?
A. 再申請は可能です。ただし、補正指示の内容が「根拠不足」や「説明の曖昧さ」であった場合は、同じ資料を手直しするだけでは同様の指摘を受けかねません。原因分析と改善計画を、第三者の客観的な視点で組み立て直すことが、再申請を成功させる近道です。
Q. 企業評価書の作成にあたって、どのような資料を準備すればいいですか?
A. 一般的には、直近数期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)、履歴事項全部証明書、事業内容が分かる資料などが必要になります。準備状況によって着手のタイミングは前後しますので、まずは手元にある直近の決算書だけでもご相談いただければ、必要な資料を個別にご案内します。
Q. 決算書を見せるのに抵抗があります。相談しても大丈夫でしょうか?
A. 赤字や債務超過の決算書を専門家に見せることに、抵抗を感じる経営者は少なくありません。しかし、原因を正確に把握するためには実際の数字を見ることが欠かせません。相談内容や決算内容が外部に漏れることはなく、まずは現状をありのままお話しいただくことから始まります。
Q. 企業評価書があれば、受入れは必ず認められますか?
A. 企業評価書は審査を通過するための必要条件のひとつであり、それ単体が受入れを保証するものではありません。ただし、原因分析・改善計画・資金繰りの見通しを客観的な視点で整理した書面があることで、審査機関に対する説明力は大きく高まります。
Q. 特定技能2号への移行時にも、企業評価書は必要になりますか?
A. 特定技能2号への移行時点でも決算が債務超過などの状態にあれば、改めて改善見通しについての評価書面の提出を求められる場合があります。1号受入れ時に整えた改善計画がその後どう実行されたかを踏まえて、評価書の内容を更新する必要が出てきます。
Q. 中小企業診断士に企業評価書の作成を依頼する費用はどれくらいですか?
A. 費用は決算内容の複雑さや、必要となる分析・計画策定の範囲によって異なります。具体的な金額は個別の状況を伺ったうえでのお見積りとなりますので、まずは無料相談で決算書の状況をお聞かせください。
まとめ

餌料費・燃料費の高騰は、漁業・養殖業に共通する外部要因であり、あなたの経営努力が足りないから債務超過に陥ったわけではありません。帝国データバンクの調査でも、水産養殖業者の倒産・休廃業は過去最多のペースで増えており、多くの経営者が同じ壁に直面しています。
大切なのは、その原因を数字で切り分け、3〜5年の改善計画と資金繰りの見通しを客観的に示すことです。そして、その説明に説得力を持たせる中小企業診断士による企業評価書があれば、特定技能の受入れという次の一手を、諦めずに検討できます。人手不足を乗り越え、原価構造を見える化し、金融機関からの信頼を取り戻す。その一歩を、まずは無料相談から踏み出してみませんか。
育成就労制度への移行を控えた今は、財務体質を見直す好機でもあります。餌料費や燃料費の高騰という逆風は、あなたの経営だけの課題ではなく、業界全体が直面している構造的な課題です。だからこそ、自己流で抱え込まず、専門家の客観的な視点を借りて、次の決算・次の受入れ申請に向けた準備を今から始めることが、遠回りのようで最も確実な近道になります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約はありません。お断りいただいても構いませんので、まずは現状をお聞かせください。
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