
「設備投資を予定しているが、使える税制優遇はないか」「認定を受けると補助金で有利になると聞いた」。設備投資や人材育成など、会社の経営力を高める取り組みを後押ししてくれるのが、国の「経営力向上計画」です。認定を受けると、税制優遇や金融支援など、さまざまなメリットが受けられます。
この記事は次のような方におすすめです
- 設備投資を予定していて、税制優遇(即時償却・税額控除)を活用したい経営者
- 経営力向上計画のメリットを正しく知りたい中小企業の社長
- 補助金の申請で加点を得たい方
- 経営力向上計画の申請の流れや書き方を整理したい方
経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法にもとづき、人材育成やコスト管理、設備投資などで自社の経営力を高める取り組みをまとめた計画のことです。国の認定を受けると、中小企業経営強化税制による即時償却や税額控除、金融支援、補助金の加点などの支援を受けられます。
本記事では、認定経営革新等支援機関であるKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)の視点から、経営力向上計画の意味・メリット・税制優遇・申請の流れまでを、中小企業庁の公表情報にもとづいて正確に解説します。なお、税制の具体的な要件や金額は改正で変わるため、実際の活用時には最新の手引きや顧問税理士にご確認ください。
タップできる目次
- 1 経営力向上計画とは?中小企業等経営強化法にもとづく制度をわかりやすく解説
- 2 経営力向上計画のメリット|税制優遇・金融支援・補助金の加点
- 3 中小企業経営強化税制|即時償却・税額控除(A・B・D・E類型)
- 4 固定資産税の特例と先端設備等導入計画との関係
- 5 経営力向上計画の対象者・認定要件
- 6 経営力向上計画の申請の流れ|申請プラットフォームと認定支援機関
- 7 経営力向上計画の書き方のポイント|労働生産性・事業分野別指針
- 8 経営力向上計画のよくある失敗・注意点
- 9 経営力向上計画の相談先の選び方
- 10 まとめ|経営力向上計画で設備投資と経営力向上を後押しする
- 11 経営力向上計画に関するよくあるご質問(FAQ)
経営力向上計画とは?中小企業等経営強化法にもとづく制度をわかりやすく解説

経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法にもとづいて、自社の経営力を向上させるための取り組みをまとめ、国(主務大臣)の認定を受ける制度です。中小企業庁の説明によれば、人材育成、コスト管理などのマネジメントの向上や、設備投資といった取り組みを計画にまとめるものとされています。
この計画のポイントは、認定を受けることで具体的なメリットが得られる点にあります。単なる社内向けの計画書ではなく、認定によって税制や金融の支援につながる「使える計画」だといえます。比較的取り組みやすく、中小企業にとって身近な支援制度の一つです。設備投資を考えている会社なら、まず検討したい制度だといえるでしょう。
よく似た名前の制度に「経営革新計画」がありますが、両者は別のものです。経営革新計画が、新商品開発や新分野進出など「新しい取り組み」に重点を置くのに対し、経営力向上計画は、既存事業の生産性向上や設備投資といった「経営力の底上げ」に軸足があります。どちらが自社に合うかは、これから取り組みたい内容によって変わります。まずは、自社が何を目指すのかを整理したうえで、適した制度を選ぶことが大切です。制度の名前が似ているために混同されがちなので、注意しておきましょう。
経営力向上計画のメリット|税制優遇・金融支援・補助金の加点

経営力向上計画の認定を受けると、主に次のようなメリットがあります。自社が使える支援がどれかを、あらかじめ把握しておくことが大切です。
税制の優遇
中小企業経営強化税制により、対象となる設備の即時償却または税額控除が受けられます。設備投資の負担を軽くできる、大きなメリットです。
金融の支援
日本政策金融公庫の低利融資や、信用保証の別枠、中小機構の債務保証など、資金調達面での支援が用意されています。設備投資には資金が必要になることが多いため、税制と金融の支援を合わせて活用できるのは心強い点です。
補助金の加点
ものづくり補助金など、一部の補助金では、経営力向上計画の認定が審査の加点につながる場合があります。補助金の採択を狙う会社にとって、見逃せないポイントです。
このほか、事業承継やM&Aに伴う設備投資などに関する税制(経営資源集約化に関する措置)も用意されています。複数の支援を組み合わせて活用できるのも、この制度の魅力です。
中でも、多くの中小企業にとって効果が大きいのが、設備投資に関する税制の優遇です。機械や器具備品などを新しく導入する際、認定を受けていれば税負担を抑えられるため、同じ投資でも手元に残るお金が変わってきます。設備投資は金額が大きくなりがちだからこそ、こうした支援を使えるかどうかで、資金繰りへの影響も大きく違ってきます。だからこそ、設備投資を計画する前の段階で、使える制度を確認しておくことが重要になります。
中小企業経営強化税制|即時償却・税額控除(A・B・D・E類型)

経営力向上計画のメリットの中心が、中小企業経営強化税制です。対象となる設備を取得し、経営力向上計画の認定を受けることで、その設備について即時償却、または取得価額の一定割合の税額控除を選択できます。設備投資のタイミングで、税負担を軽くできる仕組みです。
この税制には、設備の種類や証明の方法に応じて、いくつかの類型があります。中小企業庁の情報では、工業会等による証明書にもとづくA類型、経済産業局の確認書にもとづく収益力強化設備のB類型、経営規模拡大設備等の投資計画に係るD類型、そしてE類型などが設けられています。
ここで重要な注意点があります。設備投資を伴う場合、工業会等の証明書や経済産業局の確認書を取得し、設備を取得する前に計画を申請する必要があります。取得後では間に合わないケースがあるため、段取りが肝心です。即時償却率や税額控除の割合、対象設備、適用期限は税制改正で変わります。実際の適用にあたっては、必ず最新の手引きや顧問税理士にご確認ください。
即時償却と税額控除は、どちらか一方を選びます。即時償却は、設備の取得価額を早期に費用化することで、その年の税負担を軽くする効果があります。一方、税額控除は、税額そのものから一定額を差し引くものです。どちらが自社にとって有利かは、その年の利益の状況などによって変わります。目先の数字だけでなく、数年先までの見通しを踏まえて選ぶことが大切です。この判断も、顧問税理士や認定支援機関と相談しながら進めるのが安心です。制度を正しく使えば、設備投資という前向きな取り組みを、税制の面からも後押しできます。
固定資産税の特例と先端設備等導入計画との関係

「経営力向上計画で固定資産税が軽くなる」という情報を目にすることがありますが、現在、設備にかかる固定資産税の特例は、経営力向上計画ではなく「先端設備等導入計画」で措置されています。両者は名前が似ていますが、別の制度です。
先端設備等導入計画は、市区町村の認定を受けることで、一定の設備にかかる固定資産税の軽減などが受けられる制度です。設備投資の内容や目的によって、経営力向上計画と先端設備等導入計画のどちらが適しているか、あるいは両方を活用できるかが変わります。どの制度を使えば最も有利になるかは、専門家に整理してもらうのが確実です。先端設備等導入計画については、先端設備等導入計画策定支援のサービスもご覧ください。
混同を避けるために、両制度の違いをおおまかに整理しておきましょう。経営力向上計画は「主務大臣(国)」の認定で、中心となるメリットは中小企業経営強化税制(即時償却・税額控除)です。一方、先端設備等導入計画は「市区町村」の認定で、設備にかかる固定資産税の軽減などが受けられます。同じ設備投資でも、どちらの制度を使うか、あるいは両方を組み合わせるかで、受けられる支援は変わってきます。制度の全体像を押さえたうえで、自社の投資計画に最も合う形を選ぶことが、支援を無駄なく活かすコツです。
「うちの設備投資で使える制度はどれ?」まずはご相談ください。
経営力向上計画の対象者・認定要件

経営力向上計画は、幅広い業種の中小企業・小規模事業者などが対象です。製造業、建設業、サービス業、卸売業、小売業など、多くの事業分野で活用されています。個人事業主が対象となる場合もあります。自社が対象になるかどうかは、業種や規模の要件を満たすかで決まるため、事前に確認しておくと安心です。
認定を受けるためには、事業分野ごとに定められた「事業分野別指針」に沿って、経営力向上の目標や取り組みの内容を計画にまとめる必要があります。目標としては、労働生産性の向上などが求められます。難しく感じるかもしれませんが、様式に沿って自社の状況を整理していけば、決して手が届かないものではありません。認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら進めるのが一般的です。
認定の要件そのものは、補助金などに比べると比較的満たしやすいとされています。しかし、だからといって中身の薄い計画でよいわけではありません。認定はあくまで入口であり、計画を実行して経営力を高めることが本来の目的です。設備投資や人材育成を通じて、自社がどう成長していくのかを描くことで、計画は単なる書類から、経営の羅針盤へと変わります。制度を活用する機会を、自社の経営を見つめ直すよいきっかけと捉えると、取り組む価値はいっそう高まります。
経営力向上計画の申請の流れ|申請プラットフォームと認定支援機関

経営力向上計画は、一般的に次のような流れで進みます。特に設備投資を伴う場合は、証明書の取得や申請のタイミングに注意が必要です。
- 制度の確認・準備:自社が使いたい支援措置(税制・金融など)を確認します。
- 証明書の取得:設備投資を伴う場合、工業会等の証明書や経済産業局の確認書を取得します。
- 計画書の作成:事業分野別指針に沿って、経営力向上計画を作成します。
- 申請:主務大臣へ申請します。電子の申請プラットフォームも用意されています。
- 認定・活用:認定後、税制や金融支援などの措置を活用します。
申請は、国の申請プラットフォームからオンラインで行うこともできます。設備を取得する前に申請を済ませておくことが、税制の適用を受けるうえで欠かせません。段取りを誤ると支援を受けられないため、早めの準備が大切です。
経営力向上計画の書き方のポイント|労働生産性・事業分野別指針

経営力向上計画の計画書は、様式に沿って作成します。書き方のポイントは、事業分野別指針を踏まえ、自社の現状と、経営力向上に向けた具体的な取り組みを、筋道立てて示すことです。
目標として用いられる「労働生産性」は、大まかにいえば、従業員一人あたりでどれだけの付加価値を生み出せるかを示す指標です。設備投資や人材育成によって、この生産性をどう高めるのかを、無理のない形で描くことが求められます。形式だけ整えるのではなく、実際に自社の成長につながる計画にすることが、制度を活かす本来の目的です。書き慣れていない場合は、認定支援機関などの専門家と一緒に作り込むと、精度が高まります。
計画づくりの過程では、自社の現状を数字で振り返る作業が欠かせません。売上や利益、生産性の水準を客観的に見つめ直すことは、日々の忙しさの中では意外とできていないものです。経営力向上計画を作ること自体が、自社の強みと課題を整理する機会になります。専門家の目を入れることで、自分たちだけでは気づけなかった改善のヒントが見つかることも少なくありません。制度の活用を、単なる手続きではなく、経営を一段引き上げるチャンスとして前向きに捉えてみてください。
経営力向上計画のよくある失敗・注意点

経営力向上計画は、進め方を誤ると、せっかくの支援を受けられないことがあります。あらかじめ知っておきたい注意点を整理します。
失敗例1 設備を取得した後に申請してしまう
税制の適用には、原則として設備の取得前に申請が必要です。取得後に気づいても間に合わないことがあるため、投資の計画段階から準備を始めましょう。
失敗例2 証明書の取得が間に合わない
工業会等の証明書は、取得に時間がかかることがあります。スケジュールに余裕をもって手続きを進めることが大切です。
失敗例3 自社に合わない支援措置を選ぶ
税制・金融・補助金加点など、支援措置は複数あります。自社の目的に合ったものを選ばないと、効果が十分に得られません。
失敗例4 計画が形式だけになってしまう
認定のためだけの計画では、実際の経営改善にはつながりません。自社の成長を見据えた中身のある計画にすることが大切です。
経営力向上計画の相談先の選び方

経営力向上計画は、税制・設備投資・事業計画が絡み合う分野です。相談先を選ぶ際は、次の点を確認してください。
- 認定経営革新等支援機関か。制度の申請を適切にサポートできるか。
- 設備投資や補助金の実績が豊富か。関連する制度まで見渡せるか。
- 顧問税理士と連携できるか。税務の確認まで含めて進められるか。
- 自社の成長を見据えた計画を作れるか。形式だけで終わらないか。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として、これまで150社以上の経営支援に伴走してまいりました。代表は中小企業診断士として、経営力向上計画の作成から、関連する補助金や資金調達までを一貫して支援します。事業承継やM&Aと組み合わせて活用したい場合は、事業承継・M&A支援のサービスもあわせてご覧ください。
経営力向上計画は、それ単体で使うよりも、補助金や資金調達、事業承継といったほかの取り組みと組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。だからこそ、制度の申請だけを切り出して依頼するのではなく、会社全体の経営を見渡して提案してくれる相手を選ぶことが大切です。目の前の設備投資はもちろん、その先の成長まで一緒に描いてくれるパートナーがいれば、制度の活用は会社の未来への確かな一歩になります。
まとめ|経営力向上計画で設備投資と経営力向上を後押しする

経営力向上計画について、重要な要点を3つに集約します。
- 経営力向上計画は中小企業等経営強化法にもとづく制度。認定を受けると税制優遇・金融支援・補助金の加点などが受けられます。
- 中心となるのは中小企業経営強化税制(即時償却・税額控除)。設備の取得前に申請することが欠かせません。
- 固定資産税の特例は先端設備等導入計画で措置されており、目的に応じた制度選びが重要です。
使える制度を正しく知り、正しい段取りで進めることが、支援を最大限に活かすカギです。特に設備投資を伴う場合は、取得の前に申請を済ませておく段取りが決め手になります。「知らなかった」「間に合わなかった」で支援を逃すのは、あまりにもったいないことです。設備投資や経営力の向上を考えている今こそ、専門家とともに準備を始めてみませんか。まずは、自社が予定している投資で、どの制度が使えそうかを確認するところから、第一歩が始まります。
設備投資の前に、使える制度を整理しておきましょう。
経営力向上計画に関するよくあるご質問(FAQ)

Q. 経営力向上計画を認定されるとどんなメリットがありますか。
A. 中小企業経営強化税制による即時償却や税額控除、日本政策金融公庫の低利融資などの金融支援、一部の補助金での加点などが受けられます。自社が使える支援を確認しておくことが大切です。
Q. 設備投資の税制優遇はいつ申請すればよいですか。
A. 原則として、設備を取得する前に申請する必要があります。工業会等の証明書や経済産業局の確認書の取得にも時間がかかるため、投資の計画段階から準備を始めましょう。
Q. 経営力向上計画で固定資産税は軽くなりますか。
A. 現在、設備にかかる固定資産税の特例は、経営力向上計画ではなく「先端設備等導入計画」で措置されています。目的に応じて制度を選ぶことが大切です。
Q. どんな会社が対象になりますか。
A. 幅広い業種の中小企業・小規模事業者などが対象です。事業分野別指針に沿って、経営力向上の取り組みを計画にまとめる必要があります。
Q. 経営力向上計画の相談は誰にすればよいですか。
A. 制度に詳しい認定経営革新等支援機関への相談がおすすめです。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)も認定支援機関で、計画づくりから関連制度まで支援します。












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