
素材生産業者や森林組合、造林・育林専門会社が特定技能の受入れについて、加入している監理団体に相談したところ、「担い手不足の事情は分かりますが、決算が赤字・債務超過のままでは受入れの手続きを進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、担い手の高齢化と人手不足にあります。山の仕事を回せる担い手が減り続け、受注をこなせないまま固定費だけが重くのしかかる構造です。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ山の現場を回す人手を確保できず、人手が足りなければ受注そのものを受けられず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
素材生産業者や森林組合、造林・育林専門会社の経営者から、KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)にはこうした声が数多く届きます。
2024年、林業は技能実習(育成就労)と特定技能の対象分野に新たに加わりました。人手不足の解消に外国人材の力を借りたいと考える経営者は少なくありません。
この記事では、高齢化と担い手不足で赤字・債務超過に陥りやすい林業の事業者が、審査を一発で通す3つの条件を、中小企業診断士の実務視点から解説します。
現行の技能実習制度は2027年4月に育成就労制度へと移行する予定です。林業職種(育林・素材生産作業)は2024年に技能実習の移行対象職種へ、特定技能も同時期に受入れ分野へ加わったばかりの、いわば新しい選択肢です。制度の切り替わりを待つ余裕がある事業者は少なく、今のうちに正しい手順を押さえておくことが、数年先の経営を左右します。
この記事は、次のような方におすすめです。
- 担い手不足で仕事を断らざるを得ない方
- 赤字・債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 特定技能と育成就労の違いが分からない方
- 林業が高齢化・担い手不足で赤字化する本質的な理由
- このまま放置した場合に起きる経営リスク
- 債務超過でも受入れ審査を通す3つの条件
- 企業評価書を整えた先に手に入る未来
- 自社だけで進める場合の限界と支援の受け方
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林業の高齢化・担い手不足が、赤字と債務超過を招く本当の理由

林業の経営が苦しくなる本質は、木材価格の変動だけではありません。
山を維持できる人手そのものが、構造的に足りなくなっていることが本当の問題です。
高齢化率25%、全産業平均の1.7倍という現実
林野庁「林業労働力の動向」によると、林業就業者の65歳以上比率は令和2年時点で25%。全産業平均の15%を大きく上回ります。
一方で35歳未満の若年者率は17%にとどまり、「緑の雇用」事業による新規就業者の確保(事業前は年平均約2,000人、事業後は約3,200人)だけでは、退職による減少を補いきれていません。
2030年に必要とされる林業従事者数は約4.3万人とされますが、現状の就業者数はすでにその水準に近く、今後も高齢者の引退が続けば下回る可能性があります。
| 項目 | 全産業平均 | 林業 |
|---|---|---|
| 65歳以上の就業者比率 | 15% | 25% |
| 死傷年千人率(労働災害) | 2.3 | 約23〜29 |
| 新規就業者数(緑の雇用事業前後) | – | 年約2,000人→約3,200人 |
| 2030年に必要な就業者数 | – | 約4.3万人 |
出典:林野庁「林業労働力の動向」/厚生労働省「労働災害発生状況」
労働災害の多さが、採用をさらに難しくする
厚生労働省の統計では、林業の死傷年千人率は全産業平均の10倍前後で、全産業のなかでも突出して高い水準にあります。
危険な現場というイメージが先行し、若年層の応募がさらに集まりにくくなる。この悪循環が、担い手不足に拍車をかけています。
求人を出しても応募がゼロという状況が続き、やむを得ず高齢のベテラン従業員に無理な稼働を頼らざるを得ない事業者も少なくありません。
会社の形態によって、赤字の出方が違う
林業とひとくちに言っても、会社の形態によって赤字の出方は異なります。
素材生産業者(伐採・集材会社)は、重機のオペレーターや玉掛け作業員が不足すると、受注していた現場を予定どおりに進められず、工程の遅延がそのまま売上減少に直結します。
森林組合は、組合員である山林所有者からの施業委託が中心のため、現場作業員の不足が続くと施業委託そのものを断らざるを得なくなり、手数料収入が細っていきます。
造林・育林専門会社は、下刈りや植林など季節性の高い作業を短期間に集中して行う必要があり、繁忙期に人手を確保できないと、その年の収穫期を丸ごと逃してしまうことがあります。
いずれの形態でも、担い手不足が売上減少を招き、赤字が続くことで金融機関からの評価が下がるという構図は共通しています。
加えて、林業は所有する重機や車両への投資負担が重く、稼働率が下がっても減価償却費や借入返済は変わらず発生する点も、赤字体質を長引かせる要因になっています。
このまま放置すると、何が起きるか
担い手が減れば、受けられる伐採・造林の案件数が減ります。案件が減れば売上が下がり、固定費(重機のリース料、林道の維持費など)を賄えなくなります。
赤字が2〜3期続くと、金融機関からの評価は目に見えて厳しくなります。追加融資が受けにくくなり、資金繰りがさらに苦しくなる。この状態が続いた結果として、債務超過に陥る素材生産業者や森林組合は少なくありません。
売上の減少ではなく、山を維持できる体制が残るかどうか。それこそが林業経営の本当の分岐点です。
赤字が債務超過に固定化していく典型的な流れ
多くの事業者に共通する流れを整理すると、次のようになります。
- 担い手不足で受けられる現場数が減り、売上が下がる
- 重機のリース料や林道維持費などの固定費は変わらず、利益率が悪化する
- 赤字決算が2〜3期続き、金融機関からの与信評価が下がる
- 追加融資が受けにくくなり、資金繰りに余裕がなくなる
- 自己資本の目減りが進み、最終的に債務超過に至る
この流れのどこかで担い手を確保できれば、悪循環を断ち切れます。だからこそ、特定技能・育成就労による人材受入れは、単なる労務対策ではなく経営改善そのものだと言えます。
債務超過でも林業が特定技能・育成就労を受入れる3つの条件

結論から言うと、直近決算が赤字・債務超過であっても、次の3つの条件を満たせば、特定技能・育成就労の受入れ審査を通せる可能性は十分にあります。
条件1 改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を第三者に作成してもらう
債務超過の状態で外国人材の受入れを申請する場合、OTIT提出書類(別紙②-1・番号20)として、改善の見通しについて評価を行った書面、いわゆる企業評価書の提出を求められます。
この書面は、自社で作成して提出することは認められていません。第三者による客観的な評価が必要だからです。
作成できるのは中小企業診断士など専門性が認められた第三者に限られます。顧問税理士に相談しても、税理士単独ではこの評価書を作成できない点に注意してください。
企業評価書のサンプルやフォーマットを探している経営者の方は多いですが、書式の穴埋めだけで通るものではなく、財務内容と改善計画の整合性が審査で見られます。
特に林業は2024年に対象分野へ加わったばかりで、審査側にも業界特有の事情(季節性、山林所有者との契約形態、重機投資の負担など)を丁寧に説明する必要があります。ひな形をそのまま流用すると、かえって実態と合わない書面になりかねません。
次の内部リンクから、改善の見通しに関する評価書面(企業評価書)の作成支援の内容をご確認いただけます。
条件2 人手不足解消の効果を、数値で示す改善計画にする
企業評価書の中身で重視されるのは、「なぜ改善できるのか」を裏付ける数字です。
例えば、特定技能人材を2名受入れることで年間の伐採・搬出量が何立方メートル増え、売上が何%改善する見込みかを、根拠とともに示します。
抽象的な「頑張って改善します」ではなく、人件費率・稼働日数・受注可能量といった具体的な指標で改善の見通しを組み立てることが欠かせません。
例えば、これまで人手不足で断っていた下刈り・植林の委託案件を月あたり何件受けられるようになるか、外部への作業委託費(人材紹介会社への支払いや外注費)がどれだけ圧縮できるかを、数字で示します。
売上の回復だけでなく、外注コストの削減という利益改善の視点も盛り込むと、改善の見通しに説得力が増します。
改善計画に根拠となる数字が入っていないと、審査官には「見通しが立っていない」と判断されやすくなります。
条件3 資金繰りと金融機関との調整状況を、正確に開示する
債務超過 理由書を書く際、赤字の原因を曖昧にごまかす経営者ほど、審査で不利になります。
「高齢化と担い手不足による受注減少」という事実を正面から認めたうえで、金融機関との返済条件の調整(リスケジュール)状況や、直近の資金繰り表を添えて開示することが重要です。
特定技能は債務超過でも受入れできる可能性がありますが、それは「事実を隠さず、改善の道筋を示せる企業」に限られる、と理解しておいてください。
| 条件 | 押さえるポイント |
|---|---|
| 条件1 | 企業評価書を中小企業診断士など第三者に作成してもらう(自社作成不可) |
| 条件2 | 受入れ後の効果を人件費率・稼働日数などの数字で示す |
| 条件3 | 赤字の原因と金融機関との調整状況を正確に開示する |
その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。お断りいただいても費用は発生しません。まずは決算内容と現状をお聞かせください。
企業評価書を整えた先に、林業事業者が手に入る未来

企業評価書を整え、受入れ審査を通した先に何が変わるのか。3つの軸で具体的に描きます。
数字:受けられる案件数が回復する
担い手が増えれば、これまで人手不足で断っていた伐採・造林案件を再び受けられるようになります。稼働日数が増えることは、そのまま売上の回復につながります。
あわせて、外部の人材紹介会社や派遣に頼っていたコストを圧縮できれば、売上の回復と利益率の改善が同時に進みます。
時間:採用活動に割いていた時間を、本業に戻せる
求人広告を出しても応募が来ない状態が続くと、経営者自身が採用活動に多くの時間を取られます。受入れの体制が整えば、その時間を現場の生産性向上や新規案件の開拓に充てられます。
関係性:金融機関・山林所有者との信頼が回復する
改善計画を数字で示し、実行できていることを継続的に報告できれば、金融機関からの評価は着実に変わっていきます。
山林所有者との関係も同様です。施業委託を安定して受けられる体制があってこそ、「この会社になら任せられる」という長期的な信頼が積み上がっていきます。
担い手が定着すれば、ベテラン従業員の技術を若手や外国人材へ引き継ぐ時間も確保でき、技術継承という林業特有の課題にも良い影響を与えます。
山を守る体制と、金融機関・山林所有者からの信頼。この2つを共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書の作成には、財務分析の専門知識に加え、OTITの審査基準を踏まえた書面としての整え方が求められます。
顧問税理士や社内の経理担当者だけで対応しようとすると、次の3つの壁にぶつかりやすくなります。
- 専門性の壁:改善見通しの評価は税務とは異なる専門領域であること
- 時間コストの壁:本業と並行して書面を整える時間が取れないこと
- 判断ミスのリスク:数字の根拠が弱く、審査で差し戻されること
だからこそ、中小企業診断士に企業評価書の作成を任せる林業経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、決算内容の分析から改善計画の数値化、企業評価書の作成まで一気通貫で支援します。
具体的には、次のような支援を行っています。
- 直近3期分の決算書に基づく財務分析と、赤字・債務超過の要因整理
- 特定技能・育成就労の受入れ人数に応じた改善計画の数値化
- OTIT提出書類として通用する形式での企業評価書の作成
- 受入れ後の定期報告を見据えた資金繰り表の整備
売上を伸ばすことだけでなく、利益と資金繰りが残る構造に転換することを重視しているのが、KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)の伴走支援です。
管理会計の視点で数字を見える化し、精神論ではなく構造そのものを改善していく。それが「忙しいのに儲からない」状態から抜け出す一番の近道だと考えています。
代表を務める松本昌史は、中小企業診断士としての実務に加え、MBA(経営管理修士)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)としての知見を持ち、資金繰りの立て直しから外国人材受入れの実務まで一貫して伴走してきました。
「申請の書類さえ整えばよい」という発想ではなく、担い手不足という構造的な課題そのものに向き合う姿勢を大切にしています。
受入れ後の定期報告や、育成就労制度への移行を見据えた体制づくりまで、単発の申請支援にとどまらず継続的に伴走できる点も、多くの経営者から選ばれている理由です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約はなく、お断りいただいても構いません。まずは現状の決算をお聞かせください。
よくある質問

Q. 企業評価書とは、具体的にどのような書面ですか?
A. 正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」といい、直近事業年度が債務超過にある企業が、外国人材の受入れを続けるために提出する書面です。OTIT提出書類の別紙②-1・番号20に該当します。
Q. 企業評価書のサンプルはありますか?
A. 業種や決算内容によって記載すべき数字が変わるため、汎用のサンプルをそのまま使うことはおすすめしません。自社の財務状況に合わせて、中小企業診断士と一緒に組み立てる必要があります。
Q. 企業評価書のフォーマットは決まっていますか?
A. 記載すべき項目の大枠はありますが、書式そのものは厳密には定められていません。財務分析・改善計画・数値目標を、審査官に伝わる形で整理することが重要です。
Q. 債務超過の理由書は、どのように書けばよいですか?
A. 赤字・債務超過に至った原因(担い手不足による受注減少など)を事実に基づいて説明し、改善のためにすでに着手している取組みを具体的に記載します。曖昧な表現は避けてください。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか?
A. 税理士は税務の専門家であり、改善の見通しについて評価を行った書面の作成資格はありません。中小企業診断士など、経営改善計画の策定を専門とする第三者に依頼する必要があります。
Q. 特定技能は債務超過でも受入れできますか?
A. 直近決算が債務超過であっても、企業評価書によって改善の見通しが認められれば、受入れが可能になるケースがあります。財務状況を隠さず開示することが前提です。
Q. 林業では、技能実習と特定技能のどちらを選ぶべきですか?
A. 林業職種(育林・素材生産作業)は2024年に技能実習の移行対象職種に追加され、特定技能も同時期に対象分野となりました。長期雇用や将来の育成就労への移行を見据えるなら技能実習、即戦力を早期に確保したいなら特定技能が向いています。
Q. 育成就労の優良要件とは何ですか?
A. 育成就労制度では、受入れ企業の体制や実績に応じて優良な受入れ機関として認められる要件が設けられる見込みです。財務内容が健全であることも、その判断材料のひとつになります。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 決算資料の準備状況にもよりますが、財務分析から書面の完成まで、一般的には数週間程度を見込んでおくと安心です。申請スケジュールから逆算して早めに着手することをおすすめします。
Q. 定期報告の際にも企業評価書は必要ですか?
A. 特定技能の受入れ後、定期報告の時点で債務超過が続いている場合、改めて改善状況の説明を求められることがあります。受入れ時だけでなく、その後の経過報告も見据えて計画を立てておく必要があります。
Q. 監理団体自体が債務超過の場合はどうなりますか?
A. 監理団体が債務超過にある場合も、傘下の実習実施者の受入れに影響が及ぶことがあります。監理団体側も自らの財務状況を早めに把握し、必要であれば改善計画を整えておくことが望ましいです。
Q. 企業評価書を依頼する費用はどれくらいですか?
A. 決算内容の複雑さや事業所数によって作業量が変わるため、費用は一律ではありません。まずは無料相談で決算内容を確認したうえで、必要な作業範囲をお伝えすることになります。
Q. 育成就労制度が始まると、今の準備は無駄になりますか?
A. 育成就労制度は技能実習制度の考え方を土台にしているため、財務内容を整理し改善計画を数字で示すという基本の考え方は変わりません。今のうちに企業評価書の作成に取り組んでおくことは、制度移行後の対応にもそのまま活かせます。
まとめ

林業の赤字・債務超過は、木材価格だけでなく、高齢化と担い手不足という構造的な問題から生まれています。
だからこそ、特定技能・育成就労による外国人材の受入れは、単なる人手の補充ではなく、山を維持できる体制そのものを立て直す手段になり得ます。
そのために欠かせないのが、改善の見通しについて評価を行った書面、企業評価書です。自社での作成はできず、数字に裏付けられた改善計画が求められる点を、あらためて押さえておいてください。
決算内容を見せることに不安を感じるかもしれませんが、現状を正確に把握することが、改善への一番の近道です。
山の仕事を次の世代へつなぐためにも、まずは自社の財務状況と向き合うところから始めてみてください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいても費用は一切かかりません。まずは現状をお聞かせください。
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