【完全版】制度融資とプロパー融資の違いを徹底比較|審査・金利・選び方の正解をプロが解説

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制度融資とプロパー融資の決定的な違いとは?【比較表で一括把握】

制度融資は創業期の資金繰りを支える“守りの資金調達”、プロパー融資は成長ドライブをかける“攻めの資金調達”とも言えます。

制度融資とプロパー融資は、同じ「銀行からの借入」でありながら、審査主体やリスク負担、使える場面が大きく異なります。

創業・小規模事業者を強力に支えるのが制度融資であり、成長フェーズで資金調達の幅を広げるのがプロパー融資です。

ここでは、銀行員の視点から両者の構造と特徴を整理し、どのタイミングでどちらを選ぶべきかを分かりやすく解説していきます。

銀行員が使い分ける「2つの融資」の基本的概念

銀行融資は、大きく「制度融資」と「プロパー融資」に分かれます。

制度融資は、自治体と信用保証協会の枠組みを利用し、保証協会が債務を保証することで、銀行のリスクを軽減した仕組みです。

一方、プロパー融資は保証協会の保証を利用せず、銀行が自らの信用力判断と責任で実行する融資を指します(一般的には保証付きでない「直接融資」と呼ばれる)。

この違いにより、審査の観点や金利、必要書類、実行スピードが変わるため、銀行員は企業のステージや財務状況に応じて使い分けています。

項目制度融資プロパー融資
リスク負担保証協会と自治体が一部を負担銀行が100%負担
主な対象創業期・小規模事業者業績が安定した成長企業
金利水準自治体の利子補給で低金利になりやすい制度融資より高めになりやすい
スピード関係機関が多く時間がかかる銀行判断のみで比較的早い

制度融資とは?自治体・保証協会・金融機関の「三位一体」構造を解剖

制度融資は、自治体が用意する融資メニューを、信用保証協会と金融機関が連携して実行する公的色の強い資金調達手段です。

多くの自治体では、自治体が融資枠や利子補給条件を定め、信用保証協会と金融機関が連携して実行する「三位一体」方式が採用されています(地域によっては三者連携の関与度が異なる)。

創業者や中小企業が、自己資本や担保が不足していても、一定の条件を満たせば利用しやすいのが大きな利点です。

創業期に「制度融資」が最強の味方となる3つの理由(低金利・据置・保証)

創業期は実績や担保が乏しく、一般のプロパー融資では審査が通りづらいのが実情です。

制度融資はそのハードルを下げるために設計されており、自治体の支援を受けながら有利な条件で資金を調達できます。

  • 低金利:自治体が利子補給を実施している場合、市中金利よりも低い実質金利で借りられるケースが多い(自治体によっては補給制度がない地域もある)。
  • 据置期間:元金返済が一定期間猶予され、創業直後の資金繰り負担を軽減できる。
  • 保証の活用:信用保証協会が債務を保証することで、担保や代表者保証が不足していても借入可能性が高まる。

これらの特徴により、売上がまだ安定していない創業初期でも、事業立ち上げに必要な運転資金や設備資金を確保しやすくなります。

注意点!融資実行までに「3ヶ月」かかるリスクと対策

制度融資は関与する機関が多く、審査プロセスも複層的なため、申込から実行まで時間がかかりやすいのが弱点です。

自治体の窓口相談、信用保証協会の審査、さらに金融機関の審査と、順番に進むため、通常は1〜2ヶ月程度で実行されますが、繁忙期や書類不備がある場合は3ヶ月近くかかることもあります。

そのため、資金が枯渇してから慌てて申し込むと、実行までに資金ショートするリスクがあります。

課題想定される影響主な対策
審査期間の長さ資金ショートのリスク増大入金・出金計画から逆算して早めに相談する
書類不備審査や実行がさらに遅延事業計画書や試算表を専門家にチェックしてもらう
制度の締切・予算枠申込自体ができない可能性自治体サイトで最新情報を確認し、早期申込を心がける

こうしたリスクを抑えるには、少なくとも「資金が必要になる3〜4ヶ月前」から制度融資を検討し、金融機関や専門家へ事前相談しておくことが重要です。

プロパー融資の正体|銀行が100%のリスクを負う「真の直接融資」

プロパー融資は、信用保証協会の保証を利用せず、銀行が自らの判断と責任で実行する融資です。

銀行は貸倒リスクを100%負うことになるため、企業の財務内容や将来性を厳しく見極めたうえで、融資金額や条件を決定します。

一方で、企業側にとっては保証料負担が不要になり、借入枠の制約も少ないため、成長局面で大きな資金を調達する強力な手段となります。

銀行内の「格付け(債務者区分)」が審査の合否を分ける

プロパー融資の審査では、銀行内部で付けられる「格付け(債務者区分)」が判断の中心的な指標となります。

格付けは、自己資本比率や利益水準、キャッシュフロー、返済履歴などを総合的に評価して決定され、ランクが高いほどプロパー融資を受けやすくなります。

逆に、赤字決算が続いていたり、リスケ履歴がある場合は、格付けが下がり、保証付き融資でなければ対応できないと判断されることも多くなります。

格付けイメージ財務状態の目安プロパー融資への影響
上位ランク黒字・自己資本比率が高いプロパー中心での提案が増える
中位ランク小幅黒字〜トントン保証付とプロパーの併用提案が多い
下位ランク赤字・債務超過・リスケ有りプロパーは難しく保証付が中心

銀行との取引実績を積み重ね、決算内容の改善に努めることで、徐々に格付けを引き上げ、プロパー融資の比率を高めていく戦略が重要です。

メリットは「上限なし」と「スピード」。プロパーが会社を大きくする理由

プロパー融資の最大の強みは、保証協会の枠に縛られないため、大口の資金調達がしやすく、かつ判断スピードが速い点にあります。

保証協会付き融資は、一般保証や別枠など、保証限度額の制約を受けますが、プロパー融資は銀行の信用判断次第で、限度額を柔軟に設定できます。

また、審査のプロセスも銀行内部で完結するため、事業計画やM&A、設備投資など、時間との勝負になる場面で機動的に動けるのが大きなメリットです。

  • 成長投資への迅速な対応が可能になり、チャンスロスを防げる。
  • 保証料が不要なため、トータルコストで有利になる場合がある。
  • 銀行との関係強化につながり、将来的な資金調達の選択肢が広がる。

こうした特性から、一定の規模と収益力を確保した企業にとって、プロパー融資は事業拡大の「推進力」となりやすいのです。

意外と知らない「信用保証料」の算出方法と「責任共有制度」の仕組み

信用保証協会付き融資を利用する際には、金利とは別に「信用保証料」が発生します。

保証料は、借入金額・期間・保証料率によって決まり、実質的な資金調達コストに大きく影響します。

さらに、現在は、原則として「責任共有制度」により、保証協会だけでなく金融機関も一部リスクを負担する仕組みです。ただし、小口零細保証や創業関連保証などは従来どおり100%保証(責任共有の対象外)となっています。

一般枠と別枠(セーフティネット)の違いを正しく理解する

信用保証協会には、通常の事業資金で利用する「一般保証枠」と、経済危機や業況悪化時に利用する「セーフティネット保証」などの別枠が存在します。

一般枠は、中小企業全般が日常的な運転資金・設備資金に利用する基本的な保証枠で、枠を使い切ると新たな保証付き融資が難しくなります。

一方、セーフティネット保証などの別枠は、売上減少など一定の要件を満たせば、一般枠とは別建てで保証を受けられるため、資金繰り悪化時の「セーフティネット」として機能します。

区分主な用途枠の扱い
一般保証枠通常の運転資金・設備資金基本となる保証限度額内で利用
セーフティネット保証売上減少や取引先倒産などの影響緩和一般枠とは別に利用できる別枠
危機関連保証大規模な経済危機や災害時の支援時限的に設けられる特別枠

自社の保証残高がどの枠でどれだけ使われているかを把握しておくことで、今後の資金調達余力や戦略を立てやすくなります。

 

融資審査を通過させる「5大財務指標」と決算書の整え方

融資審査では、決算書の数字とその裏付けとなる経営実態が厳しくチェックされます。

とくに金融機関が重視する5大財務指標を理解し、日頃から決算書を「融資に強い形」に整えておくことで、借入のスピードと条件は大きく変わります。

ここでは、自己資本比率や債務償還年数といった代表的指標の考え方から、銀行に好印象を与える決算書のポイントまで、実務で使える視点に絞って解説します。

自己資本比率と債務償還年数:プロパー融資への登竜門

プロパー融資を狙ううえで、自己資本比率と債務償還年数は「入り口審査」のような役割を果たします。

自己資本比率は会社の安全性、債務償還年数は借入金を返し切るまでの年数を示し、両方が一定水準を満たしていると、保証協会付きからプロパーに移行しやすくなります。

目安として、自己資本比率20%以上、債務償還年数10年以内が望ましいとされますが、業種や経営規模によって基準は変わるため、自社の業界水準も合わせて確認しましょう。

銀行担当者を味方につける「事業計画書」の書き方3つのコツ

事業計画書は、単なる数字の羅列ではなく「融資したお金をどのように使い、どう返すのか」を銀行担当者に納得してもらうための説得資料です。

とくに、計画の前提条件を具体的に書くこと、売上と費用の根拠を数値で示すこと、返済原資(キャッシュフロー)の見通しを明確にすることが重要になります。

  • 市場規模・ターゲット・競合状況など「前提」を冒頭で整理する
  • 売上高は客数×単価、費用は固定費と変動費に分けて根拠を記載する
  • 営業利益から減価償却費を足し戻し、返済原資と年間返済額の関係を示す

これらを押さえるだけで、担当者が上席へ稟議を通しやすい計画書になります。

創業から年商10億まで|成長ステージ別の「融資ミックス」戦略

事業の成長ステージによって、最適な融資の組み合わせは大きく変わります。

創業期は信用力が乏しいため制度融資や保証協会付きが中心になりますが、売上が伸びるにつれて、プロパー融資やノンバンク、リースなどを組み合わせることで資金調達の選択肢が広がります。

ここでは、創業直後から年商10億円規模に達するまで、それぞれの局面で取り得る「融資ミックス」の考え方を具体例を交えて整理します。

ケース1:実績ゼロの起業家が最初に叩くべき門戸

創業時は決算実績がなく、銀行から見るとリスクが高いため、いきなりプロパー融資を狙うのは現実的ではありません。

まずは日本政策金融公庫や自治体の制度融資、信用保証協会付き融資など、「創業支援」を目的としたメニューを活用し、実績作りと信用力の蓄積を優先します。

あわせて創業計画書を丁寧に作り、事業の強みや自己資金、経験を具体的に示すことで、条件面の改善や増額の可能性も高まります。

ケース2:赤字転落、資金繰り悪化時に選ぶべき救済措置

赤字転落や急な売上減で資金繰りが悪化した場合、慌てて高利の借入に飛びつく前に、使える公的支援や条件変更を整理することが重要です。

施策・制度概要活用のポイント
リスケジュール既存借入の元金返済を一時的に減額・猶予する資金繰り表を用意し、返済可能額を具体的に提示する
セーフティネット保証業況悪化時に保証枠を拡大し新規融資を受けやすくする自治体の認定と金融機関・保証協会の三者で早めに相談する
日本政策金融公庫危機対応・経営改善関連の特別貸付を利用する赤字理由と改善策をレポートにまとめ説明する

これらを組み合わせつつ、同時並行で利益改善策を実行することが再建への近道になります。

脱・保証協会付き!プロパー融資へ切り替えるための「3か年計画」

保証協会付き融資は創業期や実績不足の段階では有効ですが、いつまでも依存していると保証枠が一杯になり、新たな資金調達の余地がなくなります。

そこで、3年程度のスパンでプロパー融資に切り替える「逆算型」の計画を立て、決算と銀行対応をセットで設計することが重要になります。

この章では、どの指標をどこまで改善すべきか、どの順番で金融機関と対話を進めるかといった実務的なステップを整理していきます。

銀行から「プロパーで貸したい」と言わせる関係構築術

プロパー融資を引き出すには、数字だけでなく「この会社なら返してくれる」と担当者に確信してもらうための関係構築が欠かせません。

決算書を提出するタイミングだけでなく、四半期ごとの試算表や資金繰り表を共有し、業績や課題をオープンに話すことで、担当者は社内稟議を書きやすくなります。

  1. メイン行を決め、月次~四半期単位で業績報告の場をつくる
  2. 悪い情報こそ早めに共有し、打ち手を一緒に考えてもらう姿勢を持つ
  3. 新規投資や出店などは、計画段階から相談し「事前説明」を徹底する

こうした積み重ねが、担当者に「この先も長く付き合いたい先」と感じさせ、プロパー提案につながっていきます。

経営者が抱く「融資の疑問」にプロが回答

融資に関する情報はインターネット上にも溢れていますが、実務とはズレた噂や古い情報も多く、どれを信じてよいか迷う経営者は少なくありません。

ここでは、現場でよく質問されるテーマを取り上げ、金融機関の審査ロジックや制度の仕組みに沿って整理し直します。

自身の状況に照らし合わせながら読むことで、次に取るべき一手がよりクリアになるはずです。

「個人事業主でもプロパー融資は可能?」「赤字でも借りられる?」

個人事業主でも、事業規模や収益性が一定水準に達していれば、プロパー融資を受けることは十分可能です。

また赤字であっても、単年度の一時的な赤字であり、今後の黒字化の見通しや返済原資が説明できれば、融資が通るケースも少なくありません。

ポイントは、申告内容と帳簿の整合性、利益ではなくキャッシュフローで返済可能性を示すこと、そして事業計画書で「なぜ借りて、どう返すか」を明確に伝えることです。

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